米Big Techの7〜9月期決算発表が本格化した。市場ではAI投資の持続性を巡って見方が分かる中、各社が示すAI向け設備投資計画とクラウド事業の成長動向が、Samsung ElectronicsとSK hynixの来年のメモリー受注を占う材料として注目を集めている。
Big Techの設備投資の相当部分は、メモリーを搭載するAIサーバー向けに振り向けられる。このため、各社の投資方針はSamsung ElectronicsとSK hynixのメモリー事業の追加成長余地を見極める手掛かりになる。
先陣を切ったのはMetaだ。Metaは21日(現地時間)、Big Tech各社に先駆けて第3四半期決算を発表し、AIインフラ投資を継続する方針を示した。第3四半期の設備投資は349億1000万ドルで、データセンター整備とAIチップの確保に充てた。
通期の設備投資見通しについても、下限を1350億ドルに引き上げた。Metaは年初以降、この見通しを複数回引き上げている。
第3四半期の売上高は、広告事業の好調を追い風に市場予想を上回った。スーザン・リーCFOは、AI投資がすでに広告売上の押し上げにつながっていると説明した。
Metaはあわせて、AIと中核事業の成長に直結するプロジェクトへの投資を継続する方針も明らかにした。決算シーズン最初の主要発表では、少なくとも投資縮小を示唆する内容は見当たらなかった格好だ。
Big TechのAIサーバーには、Samsung ElectronicsとSK hynixのメモリーが搭載される。Alphabet、Microsoft、Amazon、Metaはいずれも、需要が供給能力を上回る状況が続いていると説明してきた。
実際、Alphabetは第2四半期、技術インフラ投資の約60%をサーバー向けに充てたと公表している。Microsoftも4〜6月期の投資の大半をGPUやCPUなどに振り向けた。
一方で、これまで半導体株はAI投資の採算性や資金調達への懸念を背景に軟調に推移してきた。Kiwoom Securitiesによると、CoreWeaveを起点とするAI関連の信用不安がくすぶる中、フィラデルフィア半導体株指数と韓国の半導体株は連日下落したという。
投資規模の拡大に伴い、Big Tech各社の資金余力が細るとの懸念もある。フリーキャッシュフローは、営業活動で得た現金から投資額を差し引いたもので、投資余力を示す代表的な指標だ。
Alphabetは第2四半期にフリーキャッシュフローが赤字となり、6月末時点の長期負債は前年末の2倍超に膨らんだ。Kiwoom Securitiesは、実需拡大と投資サイクル継続を見込む見方と、収益性悪化や資金調達リスクを警戒する見方が拮抗し、市場の神経質な値動きにつながっていると分析した。
もっとも、市場には変化も出始めている。韓国株式市場ではMetaの決算発表前から海外投資家の買いが半導体株に戻りつつあるという。21日の韓国市場では、半導体や電力機器などAIインフラ関連銘柄が上昇を主導した。
Kiwoom Securitiesによると、海外投資家は同日、Samsung Electronicsを4営業日連続で純買い越し、SK hynixも19営業日ぶりに純買い越しに転じた。同社は、半導体株を中心とする海外投資家の売り圧力が以前より弱まっているとみている。
Metaの今回の決算については、ひとまずAI投資縮小への懸念を和らげたとの評価が出ている。Kiwoom Securitiesは、Metaが通期投資見通しの上限を維持した点が、AI投資減速への警戒感を抑える要因になったと分析した。Meta株は決算発表後の時間外取引で上昇した。
足元では、メモリー受注の拡大を支える材料が優勢とみられている。Big Tech各社がこれまで示してきた来年の投資方針をみると、Metaは来年の設備投資予算と設備容量計画を現在策定中としている。
Alphabetは7月、増加する需要に対応するため、来年の設備投資が大幅に増えるとの見通しを示した。Microsoftも、7〜9月期の設備投資が500億ドルを超えるとし、投資ペースを引き上げている。
AIチップ供給企業も同様の見方を示している。NVIDIAは、上位5社のクラウド企業の設備投資が来年1兆3000億ドル(約195兆円)に達するとの見通しを示した。
今後は、AlphabetとMicrosoftが28日(現地時間)、Amazonが29日(現地時間)に第3四半期決算を発表する。Metaと同様に、各社がキャッシュフロー負担を抱えながらも来年の投資を今年以上に増やすかどうかが、メモリー受注規模を左右する見通しだ。
あわせて、3社が公表するクラウド売上高の伸び率も焦点となる。投資拡大を支えるだけの売上成長が確認できるかが注目点だ。
Amazonのクラウド事業であるAmazon Web Services(AWS)は、第2四半期まで5四半期連続で成長率が加速した。すでに確保した契約が一部顧客に偏っていないかどうかも確認ポイントとなる。
Microsoftの商業向け残存契約は、今後売上計上される契約残高を指す。OpenAIとの契約を除くと、1年前に比べて25%増加したが、全体の増加率の約3分の1にとどまるという。