イスラエルのアドテク企業Discover-Techが、SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」の利用者を対象に、大量の広告入札を行っていた可能性が浮上した。セキュリティ研究者は、通常の広告配信ではなく、利用者の位置特定や監視を目的としていた可能性があるとみている。
日本のITメディアGigazineが10月28日付で報じた内容によると、Trend Micro傘下のTrendAIは最新の報告書で、Starlink利用者を狙った異常な広告入札活動を確認したと明らかにした。
TrendAIはこの活動を「SHADOW-EARTH-79」と分類した。報告書では企業名を公表していないが、Reutersは調査内容を知る関係者6人の話として、関与先がDiscover-Techだと報じた。
研究チームが分析した広告入札ログでは、特定の国に集中するアクセスが確認された。ハンガリーでは入札関連ログ7万0500件のうち6万4218件(91.1%)、イスラエルでは13万6917件のうち12万3396件(90.1%)が、同社に関連する入札だったという。
Starlink向け広告でも同社の存在感は大きかった。分析期間中、Starlink利用者に表示された広告のうち、Discover-Tech関連は6万6208件で全体の12.9%を占め、米広告会社SteelHouseに次ぐ規模だった。
さらにDiscover-Techは、Starlink関連の広告入札で105カ国において最も多く落札していた企業として確認された。対象には、Starlinkの利用が禁止または制限されているシリア、スーダン、ミャンマー、リビアも含まれていた。
問題視されているのは、オンライン広告のリアルタイム入札(RTB)では、利用者のIPアドレスや端末情報、位置関連データが広告主側に渡る可能性がある点だ。研究チームは、こうした情報を組み合わせることで、利用者の特定や移動経路の追跡に悪用される恐れがあると指摘した。
Discover-Techは過去にも、オンライン広告を通じて端末を感染させるゼロクリック型スパイウェア攻撃「AdFection」への関与を指摘された企業だ。ただ、今回確認されたStarlink向け広告入札ログだけで、実際に利用者監視やスパイウェア感染が行われたことを示す証拠は確認されていない。
調査後、GoogleやComcastなどはDiscover-Techの広告プラットフォームへのアクセスを遮断した。一方、Discover-TechとSpaceXは、一連の報道に関するコメント要請に応じていない。