写真=Andreessen HorowitzのWebサイトより、ベン・ホロウィッツ氏

Andreessen Horowitz(a16z)の共同創業者ベン・ホロウィッツ氏が、AIエージェントの普及によって企業組織や従業員の役割がどう変わるのかについて、Databricksの事例を引き合いに持論を示した。ポイントとして挙げたのは、System of recordの整備、組織のフラット化、そしてデータを起点とした改善速度の重要性だ。

ホロウィッツ氏はこのほど、X(旧Twitter)への投稿で「Databricksに答えがある」と言及し、注目を集めた。a16zは2013年、DatabricksのシリーズAラウンドを主導している。

同氏の主張を端的に言えば、AIは誰もがエンジニアになる世界をつくるのではなく、誰もが管理・判断を担う側に近づく、というものだ。

ホロウィッツ氏はDatabricksについて、「シリコンバレーで最も知られていない成功物語の1つだ」と評価する。年換算売上高は70億ドルを超え、成長率は80%に達しているという。

3年前まで、Databricksのプラットフォーム上の作業はすべて人が担っていたが、現在ではエージェントが発行するクエリ数が人を上回る。エージェントが1日に作成するデータベースは1700万件超にのぼるとしている。

同氏が特に重視するのが「記録システム(System of record)」だ。これは、企業の基幹情報を公式に蓄積・管理する基盤を指す。

ホロウィッツ氏は「AIの課題は知能そのものより、文脈にある」と指摘。そのうえで、Databricksのアリ・ゴドシCEOの見解として、「熟練社員の頭の中にしかない社内知識や権限、評価基準を、エージェントが読める記録に移さなければならない」と紹介した。

Databricksによれば、社内テストでは、企業固有の知識体系をエージェントに接続することで、回答精度が約50%から84.5%へ高まったという。

AIエージェントの浸透に伴い、組織構造の変化も見え始めている。20世紀型の企業は、情報伝達を担う中間管理職を軸にしたピラミッド型組織だった。しかし、その役割をAIが担えば、現場の従業員は上層部を介さず、必要な情報に直接アクセスして業務を進められるようになるという。

ホロウィッツ氏は事例として、RivianでSQLを使えない財務アナリストが、Databricksの自然言語ベースのデータ分析ツール「Genie」を用い、CFO向けの売上ダッシュボードを作成したケースを挙げた。

もっとも、組織がどこまでフラット化するかについては見方が分かれる。Block創業者のジャック・ドーシー氏は、階層構造や中間管理層が情報の流れを阻害しているとみる。一方、ゴドシ氏は、情報の伝達役は減っても、人材育成や優先順位付けを担う管理職は引き続き必要だとの立場を示している。

ホロウィッツ氏は、エンジニアの仕事はすでに管理職に近づいているとみる。「問題の範囲を定め、作業を分割し、複数のコーディングエージェントに任せ、成果物をレビューする」。そうした働き方を同氏は「第2の管理者革命」と表現した。管理そのものがなくなるのではなく、管理を専門の管理職層が独占してきた時代が終わりつつある、という見立てだ。

競合他社が同じAIモデルを借りて使う環境では、競争力を左右するのは誰がデータを握るかだと同氏はみる。

ホロウィッツ氏は「判断の根拠や人による修正履歴を自社の記録として積み上げた企業だけが、新しいモデルに切り替えても学習の蓄積を失わない」と指摘。「データを持っているだけでは競争優位にはならない。データを使って競合より速く改善しなければならない」と述べた。さらに、「今後数十年、人々が職場で担うのは、まだ答えの出ていないあらゆる仕事だ」と付け加えた。

キーワード

#AI #AIエージェント #Databricks #Andreessen Horowitz #ベン・ホロウィッツ #System of record #データ分析 #組織のフラット化
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.