カナダ政府は、ステーブルコインに関する詳細な規制案を公表した。償還手数料は1%を上限とし、発行体による保有者への利払いも禁じる。意見募集は60日間で、締め切りは12月23日。2027年秋の施行を目指す。
暗号資産・ブロックチェーンメディアのDecryptoによると、政府は10月24日に草案を公開した。
草案では、発行体に流通残高以上の準備資産を保有するよう義務付けた。対象となる準備資産は、現金、残存満期3カ月以下の国債、適格資産で運用するマネー・マーケット・ファンド(MMF)など、流動性の高い資産に限る。
準備資産は、カナダ国内の適格受託機関にある分別口座で管理しなければならない。発行体や受託機関が破綻した場合でも、一般債権者の請求から保護する仕組みとする。
償還手続きも細かく定めた。発行体は最低償還額を設けずに請求を受け付け、原則として請求から3営業日以内に法定通貨での支払いを開始しなければならない。償還手数料は償還額の1%を超えてはならない。
保有に応じた利息や収益分配も禁止する。発行体が第三者を通じて支払う場合や、別の形で収益を分配する方式も禁止の対象に含めた。
一方で、単純保有に対する利回りではなく、取引や利用に連動する報酬は認める。
また、ステーブルコインを銀行預金のように紹介したり、預金保険や政府保証の対象であるかのように宣伝したりする行為も禁じる。苦情対応については、発行体は受理から7日以内に通知し、30日以内に処理する必要がある。
発行体の登録と監督については、草案上はカナダ中央銀行が担うと整理されている。根拠法となるステーブルコイン法は2026年3月26日に認可を受けた。当局は、監督対象となる発行体は5社になると見積もっている。
あわせて、小売決済に関する規定改正により、顧客資産を保管する暗号資産プラットフォームなど、決済サービス事業者約30社も追加で監督対象に入る見通しだ。
規定違反に対する課徴金の上限は、違反類型に応じて100万カナダドルと1000万カナダドルに分かれる。準備資産の要件を満たさない場合や、額面での償還義務を履行しない場合は、最大1000万カナダドルの課徴金が科される可能性がある。
こうした制度整備の背景には、越境決済の改善需要もある。ロン・モロー氏(カナダ中央銀行の決済・監督統括責任者)は2025年9月、オタワで開かれたイベントで「より速く、より安く、より透明で、より利用しやすい国際送金サービスが急務だ」と述べた。
米国でも、発行体の利払いを制限する方向で規制枠組みの整備が進んでいる。ドナルド・トランプ米大統領が2025年7月18日に署名したステーブルコイン規制法「GENIUS Act」は、発行体が保有者に利息を支払えないよう定めている。
その後は、暗号資産プラットフォームが提供する収益の許容範囲を巡り、銀行業界と業界側の対立が続いた。銀行業界は、こうした報酬が預金の暗号資産市場への流出を促しかねないと警戒している。
今回のカナダの草案も、ステーブルコインの決済利用を後押ししつつ、預金や利払い商品とは明確に線引きする内容となっている。今後の意見募集と最終規定の策定では、準備資産の管理、償還手続き、利用連動型報酬の範囲が主な論点となりそうだ。