Galaxy Digitalは、足元のビットコイン市場について、すでに底入れした可能性が高く、売り圧力も和らいでいるとの見方を示した。テクニカル面の改善に加え、長期保有分の移動減少、現物ETF保有の底堅さ、米国の債務膨張と財政赤字拡大を強気材料に挙げている。
ブロックチェーンメディアのCoinPostが10月27日付で報じた。Galaxy Digitalでリサーチ責任者を務めるアレックス・ソンは22日、ビットコインはすでに底を通過し、需給面の売り圧力も弱まったとの認識を示した。
ソンは、売り圧力が後退する一方で、法定通貨の価値希薄化を巡る議論は強まっていると指摘した。ビットコインが過去に12万5000ドルまで上昇したことに触れ、再び同水準に到達しない理由は見当たらないと述べた。
その根拠として、テクニカル指標の推移とオンチェーンデータ、需給構造の変化を示した。ビットコインは200週移動平均線を維持しており、50週移動平均線も5週連続で回復しているという。ソンによると、過去に50週線を20週超下回った後に持ち直した4つの局面では、その後1年間に回復時点から8.4%を超えて下落した例はなかった。
半減期後の日数も強気材料の一つだ。ビットコインは22日時点で半減期後916日目に入っており、過去3回のサイクルで底となった777日、889日、912日をいずれも上回った。さらに、5年以上移動していなかったBTCの月間移動量は、2024年の月平均6万7000BTCから、2026年に入って月平均3万4000BTCへ減少した。
短期筋の投機資金が後退する一方で、中長期の保有は大きく崩れていない点も、強気見通しを支える要因とした。シカゴ商品取引所(CME)のビットコイン先物市場では、資産運用会社のネットロングがピーク比で57%減少し、ヘッジファンドのネットショートも約57%縮小した。ビットコイン価格が53%下落する局面でも、現物ETFの保有量は2025年10月9日の高値から2026年7月13日の安値まで11%の減少にとどまった。
米国の財政悪化もビットコインの追い風になり得るとした。ソンは、米連邦債務が40兆4400億ドル(約6066兆円)、財政赤字が1兆9900億ドル(約298兆5000億円)で国内総生産(GDP)比6.2%、年間の利払い費が1兆2800億ドル(約192兆円)に達すると指摘した。40兆ドル規模の債務を金利5%前後で借り換えながら、GDP比6%の財政赤字を抱える構造はインフレ圧力を強める可能性があるとし、法定通貨の価値希薄化への懸念がビットコイン投資の論拠になり得ると述べた。
一方で、強気シナリオを維持する前提条件も示した。50週移動平均線を再び割り込んだ後、1カ月以内に回復できない場合や、現物ETFの保有量が7月の安値である122万BTCを下回る場合はリスク要因になるとした。暗号を解読できる量子コンピュータの具体的な実用時期が示された場合や、米財政が健全化局面に入る場合も、ビットコインの重荷になり得るとみている。
AIも相場変動要因として挙げた。ソンは、AIが資金流入の面でビットコインと競合する可能性や、AIを悪用したハッキングの増加、AIブーム自体の失速が暗号資産市場のリスクになり得ると警告した。今後は、テクニカルの支持線、現物ETF保有の推移、マクロの財政環境が同時に崩れるかどうかが焦点となる。