米民主党が、昨年終了したEV購入向けの連邦税額控除の復活に向けて動いている。対象は新車購入時の最大7500ドル(約113万円)の支援策で、下院では関連法案に160人超の民主党議員が支持を示している。ただ、EVに対する有権者の関心低下に加え、党内にも慎重論があり、実現にはなおハードルがある。
InsideEVsが10月26日(現地時間)に報じたところによると、米下院の民主党議員160人以上が、EV税額控除の復活を含むエネルギー関連法案を支持している。
法案は、ショーン・キャスティン(Sean Casten)下院議員(イリノイ州)が、マイク・レヴィン(Mike Levin)下院議員(カリフォルニア州)らと共同提出した「Energy Bills Relief Act」。インフレ抑制法(IRA)に基づくクリーンエネルギー向け税制優遇の復活を柱に据える。
復活の対象には、新車EV向けの最大7500ドルの税額控除に加え、中古EVや充電設備に対する優遇措置も含まれる。あわせて、送電網の近代化を進めるほか、AI向けデータセンター増設のコストが家庭向け電気料金に上乗せされるのを防ぐ措置も盛り込んだ。
民主党内の一部には、税額控除の復活によってEV販売を後押しし、中国との自動車産業競争で米国の競争力維持につながるとの期待がある。
一方で、有権者の関心は以前ほど高くない。4月のピュー・リサーチ・センター調査では、次に買う車としてEVの購入を真剣に検討していると答えた米国人は32%にとどまり、2022年の42%から10ポイント低下した。ハイブリッド車の購入を検討するとの回答は44%だった。
民主党内でも慎重な見方は残る。チャック・シューマー(Chuck Schumer)上院民主党院内総務は、クリーンエネルギー向け税制優遇の復活には言及したものの、EV支援を直接打ち出してはいない。エリッサ・スロトキン(Elissa Slotkin)上院議員も、特定のエネルギー源に偏るのではなく、より包括的な政策が必要だとの立場を示している。
法案成立までの政治的ハードルも高い。民主党が11月の中間選挙で上下両院の過半数を確保したとしても、成立には大統領の署名が必要となる。仮に拒否権が行使されれば、成立には上下両院でそれぞれ3分の2以上の賛成による再可決が求められる。
既存の税額控除は昨年9月30日に終了した。米国ではEV販売や充電インフラ整備が拡大基調にあるものの、連邦政府による購入支援の再導入が実現するかどうかは、なお不透明だ。