「アンボックスド」方式で組み立てるTesla Cybercab。写真=Tesla

Teslaは、ロボタクシー「Cybercab」のバッテリー設計を見直し、修理性と運用コストの抑制を重視した構成を採用した。Model Yなどで用いた構造用バッテリーの弱点とされてきた整備性を改め、将来的なリン酸鉄リチウム(LFP)電池への切り替えにも対応しやすい設計とした。

米電気自動車メディアのInsideEVsは27日(現地時間)、Cybercabが4680セルを一体構造でまとめるのではなく、4つの独立したモジュールに分けて搭載していると報じた。バッテリーに不具合が生じた場合も、パック全体ではなく問題のあるモジュールのみを切り離して修理・交換できるという。

Teslaでバッテリーモジュールとパックの機械設計を統括するロバート・サンプ氏は、YouTubeチャンネル「Munro Live」に出演し、従来のModel Yの構造用バッテリーについて「D評価だ」と語った。製品としての完成度は高かった一方で、製造の難しさやサービス面で課題があったとしている。

構造用バッテリーは、セルを車体構造の一部として組み込むことで、空間効率やコスト効率を高めやすい。一方で、セルが硬い充填材で固定されるため、部分的な修理は難しくなる。Munro & Associatesも過去、構造用バッテリーを搭載したModel Yを分解したうえで、修理性は事実上ゼロだと評価していた。

Cybercabではこうした課題を踏まえ、モジュール交換をしやすい設計に改めた。サンプ氏は、バッテリーを車体構造に完全統合すれば、セル搭載スペースを約10%増やし、コストも一部削減できる可能性があると説明。その一方で、整備時に発生する費用まで含めて考える必要があると指摘した。

特徴の1つが、バッテリーパック内部に余裕を持たせた点だ。現在のCybercabはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)系の4680セルを採用しているが、Teslaは将来的なLFP電池の採用も想定し、パック内に追加のスペースを確保した。サンプ氏は、エネルギー密度がより低い電池の化学系にも対応できるよう設計したとし、量産拡大の段階でLFP導入が必要になる可能性も念頭に置いたと明らかにした。

LFP電池は一般にNMC系よりエネルギー密度が低く、同じ搭載スペースでは航続距離が短くなる可能性がある。一方で、材料コストを抑えやすく、熱安定性や充放電サイクルの耐久性に強みがあるため、走行量の多いロボタクシー用途との相性は悪くない。Cybercabではパック内の余裕スペースを活用してセル搭載量を増やすことで、こうした弱点を一部補える可能性がある。ただ、LFPへの切り替えの可否や時期は現時点で決まっていない。

こうした設計は、Cybercabの運用モデルとも整合する。Teslaのエンジニアは、Cybercabが50万マイル(約80万km)の寿命を目標に設計されたと説明している。長時間の反復運行を前提とするロボタクシーでは、航続距離だけでなく、故障時の整備時間や交換費用、車両の稼働率が採算性を左右するためだ。

Cybercabの主任エンジニアを務めるエリック・アーリー氏も、総保有コストの観点から、50万マイルを走る前にバッテリーパック全体を交換するのは負担が大きいと指摘。再製造のしやすさと修理性の重要性を強調した。

Cybercabのバッテリー設計は、エネルギー密度の最大化よりも、長期的な運用コストの低減を優先したものといえそうだ。将来的にLFP電池まで採用すれば、生産コストと保守コストを同時に抑えられる可能性がある。もっとも、現行のNMC系セルを実際にLFPへ切り替えるかどうかは、量産が進む中で見極めることになりそうだ。

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