BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏が、AI計算資源を取引可能な資産として市場化する構想を打ち出した。FLOPネットワーク上で価格指標を形成し、将来的にはその価格を基にしたデリバティブ市場の創設を目指す。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphが27日(現地時間)に報じた。ヘイズ氏は、自身が率いる新ネットワーク「Flop Labs」のネイティブトークン「FLOP」を軸に、AI計算資源のスポット価格を形成する仕組みを提示した。
構想の中核は、AI推論タスクごとに実際に提供された計算資源を計測し、その取引データを基にFLOP建てのスポット価格を算出する点にある。ヘイズ氏は、現時点ではAI計算資源に統一的な価格指標が存在しないことを課題として挙げた。仕組みが定着すれば、AI計算資源そのものが電力やコモディティのように売買される資産になり得るとの見方を示している。
さらにヘイズ氏は、FLOPネットワークがAIエージェント向けの決済基盤として機能すれば、「FLOP/コンピュート」の為替レートが世界の計算資源スポット市場における指標価格になり得ると説明した。流動性のあるスポット市場が形成されれば、その価格を原資産とするデリバティブの組成も可能になるとしている。
この構想は、Flop Labsが進めるネットワーク戦略とも連動する。Flop Labsは、AIエージェントがコンピューティング費用や分散型メモリーサービスの利用料を支払えるネットワークを開発している。ヘイズ氏は8月、同社の最高経営責任者(CEO)就任を発表した際、2026年10〜12月に大規模なエアドロップを計画していることも明らかにしていた。
市場規模の見通しも示されている。Boston Consulting Group(BCG)は7月の報告書で、AI計算資源のコモディティ化が進む可能性を指摘し、関連市場が2025年の3600億ドルから2030年には2兆3000億ドルに拡大すると予測した。FLOP構想は、計算資源の価格指標と取引インフラを先行して押さえる狙いがあるとみられる。
一方で、今回の構想公表のタイミングにも関心が集まっている。ヘイズ氏は今週、Ethereum(ETH)、Ethena(ENA)、Uniswap(UNI)の保有分をすべて売却し、利益を確定したと述べた。売却時には、マクロ経済と地政学的な環境が不安定だとも言及していた。
こうした局面で打ち出されたFLOP構想は、単なるトークン訴求にとどまらず、AIインフラの決済と価格発見の仕組みを一体で設計する試みといえる。AIエージェントがFLOPネットワーク上で計算資源の対価を支払い、その取引蓄積がスポット価格の形成につながり、さらにデリバティブ市場へ発展するかが今後の焦点となる。