Circleのステーブルコイン「USDC」が、ユーロ建てステーブルコイン取引でTetherの「USDT」を上回った。欧州連合(EU)の暗号資産規制「MiCA」への対応で、主要取引所が欧州経済領域(EEA)の顧客向けにUSDT取引を制限したことを受け、規制に適合した銘柄へ資金が移っている。
Cointelegraphが27日(現地時間)に報じたところによると、欧州の主要取引所によるUSDT取引の制限を背景に、ユーロ市場の取引構造が急速に変化している。
Kaikoの集計では、ユーロ建てステーブルコイン取引に占めるUSDCのシェアは、2024年1月の10%から足元で56%に拡大した。EEAの利用者向けに一部ステーブルコインの取引制限が広がったことで、規制要件を満たすステーブルコインへ資金が流入したためだという。
流動性の面でもUSDCが優位に立つ。ユーロ建てで取引されるUSDCの板の厚みは、USDTを約40%上回った。売買注文がより厚く積み上がっていることを示しており、大口取引時の価格変動を抑えやすい。一方、世界全体の流通量では、なおUSDTがUSDCの約2.5倍の規模を維持している。
Kaikoは、ステーブルコインとユーロの取引ペアについて、欧州投資家にとって市場への参入や資金の引き揚げに使う主要ルートだとみている。この市場でUSDCのシェアが上昇したことは、欧州利用者の入出金手段が変化していることを示すとしている。
こうしたなか、USDCに対する監督も強まっている。欧州銀行監督機構(EBA)は14日、USDCをMiCAに基づく初の「重要電子マネートークン」に指定した。これにより11月12日から、自己資本や準備資産、流動性に関する一部監督権限がフランス金融監督庁(ACPR)からEBAに移管され、発行体には追加の規制要件が課される。
米国でも、ステーブルコインの競争を左右する要素として規制対応が浮上している。Kaikoは、米国がGENIUS Actを通じて欧州に近い規制枠組みを整備しているとして、米国の取引所でも規制に適合した銘柄へ取引が移る可能性があるとの見方を示した。
米通貨監督庁(OCC)は21日、監督対象となる発行体に関する準備金や償還要件などを盛り込んだ最終規則を公表した。施行日は2027年1月18日。さらに2028年7月からは、法定の承認要件や外国発行体に関する要件を満たさないステーブルコインについて、米国利用者への提供・販売が制限される。
発行体の対応にも差が出ている。Circleは欧州と米国の双方で規制要件を満たす戦略を進めてきた。これに対しTetherは、米国市場向けに別のステーブルコイン「USAT」を投入し、実際の発行はAnchorage Digital Bankが担う。欧州で起きた取引シフトが米国でも再現されれば、発行規模に加え、規制対応と取引所での取り扱い可否がシェア競争を左右する可能性がある。