暗号資産取引所のKrakenは、欧州経済地域(EEA)の適格投資家向けに、ビットコインとイーサリアムのオプション取引の提供を開始した。取引はKraken Proで利用でき、USD建ての欧州型オプションを、既存の先物口座と同じ担保で扱える。
CryptoSlateがこれを27日(現地時間)に報じた。サービスはWeb版とモバイル版の両方で提供する。
今回の展開は、Krakenが7月に適格な専門顧客と機関投資家向けに始めたオプションサービスを、欧州にも広げるものだ。既存の先物取引口座にオプションを追加し、同一口座・同一担保で先物とオプションを併用できるようにした。
対象となるのは、満期時にのみ権利行使できる欧州型オプション。現物受け渡しは行わず、現金決済とする。オプションのプレミアム、損益、最終決済額はいずれもUSD建てで算定される。満期は週次、月次、四半期、半期を用意する。
先物とオプションの担保に使える資産は30種類超。USD決済の商品ではあるものの、担保をUSDだけで差し入れる必要はない。利用者は先物取引に充てている担保を、そのままオプション取引にも活用できる。
証拠金は、保有する先物とオプションのリスクを一体で評価する「ポートフォリオマージン」方式で算出する。この方式は標準で適用され、各ポジションの損益が相殺される場合は、必要証拠金の圧縮も見込める。
オプション取引では、プレミアムの全額前払いは不要とした。先物に近い証拠金体系を採用し、価格変動に伴う損益を担保に反映させる仕組みという。オプション自体にファンディングフィーは発生しないが、同一口座で保有する無期限先物については従来通り発生する。
取引はRFQ方式で行う。利用者が条件を提示して見積もりを取得し、提示価格を確認したうえで約定するかどうかを判断する仕組みだ。最大5つのポジションを組み合わせた見積もり依頼に対応し、見積価格には有効期限が設けられる。期限内に受諾すれば取引が成立する。
利用できるのは、Krakenがデリバティブを提供するEEA各国の適格投資家に限られる。取引に先立ち、オプションに関する知識や経験を確認する適合性評価を受ける必要がある。
Krakenは、欧州金融商品市場指令(MiFID)に基づく認可の下でサービスを提供していると説明した。実際のオプション関連の投資サービスは、キプロス証券取引委員会(CySEC)の監督を受ける現地法人が担うとしている。
一方で、オプション取引に伴う損失リスクについても注意を促した。買い手はオプションポジションの価値を全て失う可能性があり、売り手は差し入れた証拠金を大きく上回る損失を被るおそれがある。状況によっては売り手の損失が無制限となる可能性もあり、口座が証拠金要件を満たせない場合にはポジションが強制清算されることがある。
今回のサービス拡大により、欧州の利用者は先物とオプションを組み合わせ、相場の方向性だけでなく、ボラティリティや満期も踏まえた取引戦略を組みやすくなる。Krakenは商品ラインアップの拡充と既存口座・担保の活用を通じ、欧州でのデリバティブ事業の強化を図る。