Samsung Electro-Mechanicsの業績拡大期待が高まっている。AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサー(MLCC)とパッケージ基板で顧客による2027年分の長期供給契約の確保が進み、需給逼迫を背景に単価も上昇しているためだ。今年積み上がった契約分が、2027年の売上と利益を押し上げるとの見方が市場で広がっている。
業界関係者によると、同社の2027年の売上高は18兆ウォン(約1兆9800億円)を上回る見通しだ。今年締結した供給契約が2027年1月から売上に反映されるうえ、部材価格の上昇分も上乗せされるとみられている。
同社が今年5月のシリコンコンデンサー契約を皮切りに、今月18日のパッケージ基板契約までに結んだ供給契約は計7件。契約総額は約4兆3000億ウォン(約4730億円)で、いずれも契約開始日は2027年1月1日となっている。
対象品目はシリコンコンデンサー、MLCC、インダクターに加え、半導体パッケージ基板にも広がった。顧客が部材の種類を問わず、2027年需要を前倒しで押さえに動いた格好だ。
こうした動きの背景には、供給が需要の伸びに追いついていないことがある。未来アセット証券によると、Samsung Electro-Mechanicsを含む主要各社の2027年のMLCC生産能力は、増強後も伸び率が20%前後にとどまる見込みだ。
とりわけAIサーバー向けの大容量品は製造難度が高く、生産能力の増強がそのまま供給増にはつながりにくいという。
基板分野でも事情は同じだ。基板メーカー各社の増産投資が高性能基板のFC-BGAに偏るなか、顧客は汎用基板のFC-CSPについても長期供給契約(LTA)で確保を進めている。
Samsung Electro-Mechanicsが公表した3605億ウォン(約397億円)規模の基板契約も、FC-CSPの比率が高いとみられている。ハナ証券は、同社がフィリピンの新生産施設の稼働開始時期を2027年上期に繰り上げたものの、人員面の制約などから短期間での大規模増設は難しいとの見方を示した。
契約分の大半は2027年中の供給に集中する。シリコンコンデンサーの1件のみが2028年まで続き、残る契約はすべて2027年の1年間で履行される予定だ。
同社が確保した2027年向け長期供給契約は約3兆5000億ウォン(約3850億円)規模。MLCC売上に占めるAI向け製品の比率は40%を上回ると予想されている。AIサーバーは一般サーバーに比べてMLCCの搭載量が多く、チップ消費電力が大きいほど大容量・高電圧品の構成比も高まるためだ。
価格面でも追い風が続く可能性がある。同社は今年6月と8月に、流通チャネル向けMLCC価格を2回引き上げたとされる。ハナ証券は、需給逼迫を背景に、流通向け以外でも価格交渉が進む可能性が高いと分析している。
基板価格も上昇基調にある。iM証券は、Samsung Electro-Mechanicsの2027年のFC-BGA売上高が前年比42%増となり、このうち約20%分は販売価格の上昇によるものと試算した。
もっとも、この前提もなお保守的との見方がある。TrendForceは、ABF基板価格が2027年10~12月期まで四半期ごとに上昇すると予想している。ABF基板は、AIサーバー向けGPUやCPUなど高性能半導体を搭載するパッケージ基板で、FC-BGAと同じカテゴリに属する。
数量と価格が同時に伸びる見通しを受け、2027年の利益予想も相次ぎ上方修正されている。IBK投資証券は、同社の2027年営業利益見通しを従来の3兆ウォン(約3300億円)から4兆4000億ウォン(約4840億円)へ引き上げた。
需給逼迫により値上げ効果が一段と表れやすくなることに加え、パッケージ事業とコンポーネント事業で製品ミックス改善と単価上昇が同時に進み、規模と収益性の双方が高まると判断したためだ。
未来アセット証券も、MLCCの直接納入先向け単価引き上げとBGA基板価格の上昇を織り込み、2027年の営業利益予想を引き上げた。長期契約が出荷数量を支え、供給不足が価格上昇を後押しする構図とみている。
同社は需要拡大への対応に向け、生産能力の増強も進める。9月28日には、セジョン事業所とベトナム法人でパッケージ基板の生産設備を増設する方針を決定した。セジョンの増設期間は2028年5月まで、ベトナム工場の設備取得予定日は2028年4月30日としている。
新工場での量産が本格化するのは2028年下期となる見通しで、向こう1年の収益は既存ラインでどこまで増産できるかが左右する。iM証券は、2027年に既存ラインへの補完投資によって生産能力を20~30%拡大できる可能性があると分析している。