27日の記者懇談会でAX事業戦略を説明するパク・サンウォン KT AX事業部門長。写真=KT

KTは10月27日、企業向けAIプラットフォーム「KT Token Factory」を発表した。AIモデルの選定から利用量・コスト管理、セキュリティ対策までを一元化した基盤で、10月30日に提供を開始する。まず73モデルをそろえ、年内に500モデル超へ拡充する計画だ。

同日、ソウル市鍾路区の光化門Westビルで開いた記者懇談会で明らかにした。KTは同サービスを、企業のAI転換(AX)を支える中核プラットフォームとして位置付ける。

パク・サンウォンKT AX事業部門長は「いま重要なのはAIをどう活用し、実際のビジネス価値につなげるかだ」と述べた。その上で、「複雑な業務とデータを結び付け、AIを有機的に活用する力がビジネス成果を左右する」とした。

Token Factoryは、企業が業務目的やコスト、セキュリティ要件に応じて複数のAIモデルを使い分けられるようにするプラットフォームだ。個別にAIサービスを契約・管理しなくても、モデル選定、利用量の確認、コスト管理、決済までを単一基盤で処理できる。

KTは同事業の中核価値として「実行・効率・信頼」を掲げる。多様なAIモデルを業務へ導入しやすくするとともに、トークン使用量とコストの最適化、データ保護と信頼性確保を図る。

イ・ジニョンKT AX事業本部長は「Token Factoryは、多様なAIをつなぎ、効率的に活用できるようにするプラットフォームだ」と説明した。複数モデルの利用量を一元的に把握し、料金は韓国ウォン建てで一括決済できるようにしたという。

10月30日の提供開始時点では、KTが国内インフラ上で提供する7モデルと、グローバルAIモデル66モデルの計73モデルをそろえる。

国内インフラで提供するモデルには、KTの「Midm K 3.0」のほか、Upstageの「Sola Pro 4」、Motif Technologiesの「Motif 3」などが含まれる。加えて、GoogleのGemma、NVIDIAのNemotron、Moonshot AIのKimi、Z.aiのGLMといったオープンウェイトモデルにも対応する。グローバルモデルでは、OpenAIのGPTシリーズ、AnthropicのClaude、Mistral AI、DeepSeek、xAI、Alibaba Cloudなどを取り扱う。

KTは、グローバルAIモデル流通プラットフォームのOpenRouterと提携し、モデルの調達網を広げている。これにより、年内に利用可能なAIモデルを500超へ増やす方針だ。

同社は、Token Factoryの差別化要素としてAIモデルの自動選択とトークン使用量の最適化を挙げる。企業では業務内容に応じて複数のモデルを使い分けるが、単純な問い合わせに高性能モデルを使ったり、不要に長いプロンプトを入力したりすると、トークン消費とコストが膨らみやすい。

この課題に対応するため、KTは独自開発の「Auto Model Router」を導入した。質問の種類や難易度、必要な品質、コスト条件などを分析し、最適なAIモデルを自動で選ぶ技術だ。利用者はモデルを個別指定する代わりに、コストと品質のバランス水準を設定できる。品質重視なら高性能モデル、コスト重視なら相対的に低価格なモデルを選ぶ仕組みとしている。

KTによると、Auto Model RouterはグローバルAIモデルのルーティング性能評価「RouterArena」で総合1位を記録した。リクエスト処理に失敗した場合、あらかじめ設定した別モデルへ自動で切り替えるフォールバック機能も備える。

同社は、こうした独自技術によりAIトークン使用量を最大25%削減できると説明する。キム・ジュンソクKT未来技術院AI Agentic Lab長は、不要な記述を除くプロンプト圧縮技術で約20%、業務に適した低コストモデルへ振り分けるルーティング技術で約5%、それぞれ削減効果が見込めると述べた。

セキュリティ面では、検証済みのAIモデルに限定し、顧客データを保存したり学習に利用したりしない運用を採る。あわせて、入力時に個人情報や機微情報、有害表現を検知し、生成結果を検証する独自のガードレール技術を適用する。

課金面では、通信事業で培った課金技術をAI向けに展開する。通信サービスで利用記録を管理する「コールディテールレコード(CDR)」の考え方を拡張し、「トークンディテールレコード(TDR)」として適用した。顧客が利用したAIモデルやトークン使用量を細かく記録し、料金を一括請求する仕組みだ。

料金プランは、まずスタンダードとエンタープライズの2種類を用意する。スタンダードは使用したトークン分だけ支払う従量課金で、後払い精算に対応する。エンタープライズは企業向けに、契約ベースの後払い料金で提供する。企業ごとの要件に応じて、専用線、プライベート環境、サービス水準合意(SLA)などの追加機能も提供する。

サービスはまずB2Bを中心に展開する。12月末までにモデルのラインアップと企業向け管理機能を拡充し、来年3月には個人開発者や一般利用者にも対象を広げる計画だ。個人向け市場への展開に合わせ、サブスクリプション型料金の導入も検討する。

収益源としては、AIモデルの仲介手数料に加え、企業向け付加サービスを見込む。AIモデル提供各社との協議を通じて価格競争力を高めるとともに、プライベートサービスなどの追加機能を組み合わせて収益化を進める方針だ。

パク・サンウォンKT AX事業部門長は「Token Factoryを基盤に顧客のAX転換を支援し、韓国のAIエコシステム成長をけん引する中核プラットフォームへ育てたい」と述べた。

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