カナダ西部ブリティッシュコロンビア(BC)州の州議会選挙で保守党が勝利し、液化天然ガス(LNG)の増産と輸出拡大を後押しする情勢となった。9年間政権を担った中道左派の新民主党(NDP)は敗れ、政権交代が決まった。
CleanTechnicaによると、24日に投開票された州議会選の暫定集計が26日に公表され、保守党は全93議席のうち63議席を獲得した。NDPは28議席、緑の党は2議席だった。暫定投票率は48.14%で、5割を下回った。
保守党のローヌ・ドアクソン党首は、天然ガスの生産量を2032年までに2倍、2035年までに3倍へ引き上げる方針を公約に掲げた。許認可手続きの迅速化と規制緩和を通じて、エネルギー分野への投資と雇用の拡大を目指す。来年にはバンクーバーでビジネス会議を開く計画も示している。
同党は、LNG事業に適用される温室効果ガス排出の上限撤廃や、炭素価格制度の見直しを進める構えだ。米国やカタールに対する輸出競争力の強化を狙う。2018年以降にBC州のLNG事業から撤退したExxonMobil、Chevron、Woodsideとの協力再開も促す方針という。
また、輸出したガスが海外で石炭の代替として使われた場合の排出削減効果についても、削減実績として認定を目指す考えを示した。
もっとも、今回の選挙結果を既存の環境政策に対する有権者の全面的な否定と受け止めるのは早計だ。NDPもLNG開発の拡大を支持してきたうえ、選挙前の調査では、生活費や医療、米国との貿易摩擦が主要な争点に挙がっていた。マーク・カーニー連邦首相も、対米依存の低下に向けたエネルギー輸出拡大の必要性を強調してきた。
保守党の綱領は、気候政策の原則として、異常気象から住民を守ること、州内外の排出削減を進めること、測定可能な成果を示すことを掲げている。
一方、LNG拡大にはなお課題が残る。天然ガス採掘時のメタン排出や、液化工程での大規模なエネルギー消費を踏まえると、気候目標との整合性が問われるためだ。新たな輸出設備の採算を支える海外需要の見通しや、異常気象を踏まえた港湾運営のあり方についても、検証が必要だとの指摘が出ている。