インターネットや携帯通信網を介さずにメッセージをやり取りできるメッセンジャーアプリ「Bitchat」が、フランスで急速に存在感を高めている。国内でデモが広がるなか、SNS規制を巡る議論や通信障害が重なり、通信事業者に依存しない連絡手段として注目が集まっている。
CoinPostが10月27日に報じたところによると、X(旧Twitter)共同創業者のジャック・ドーシーが公開した「Bitchat」は、22日にフランスのApple App StoreでSNSカテゴリのダウンロードランキング首位となった。
BitchatはBluetooth Low Energy(BLE)を使い、近距離にあるスマートフォン同士を直接接続する。各端末が中継役となるメッシュネットワーク方式を採用しており、インターネットや携帯通信網が使えない環境でも、近距離でメッセージの送受信が可能だ。
利用者が多いほど通信範囲が広がる仕組みで、インターネット接続が可能な場合は分散型通信プロトコル「Nostr」を通じて遠距離の通信にも対応する。
フランスでは9月中旬以降、パリ近郊クレテイユで学生が教職員不足などに抗議するデモを開始した。さらに先月17日には、物価上昇に反対する全国集会も開かれた。
フランス内務省の集計では、参加者は約55万人に上った。一部地域では店舗の略奪や施設の破壊も発生し、流通業界は初期集計として約1500店舗が被害を受け、損失額は数億ユーロに達する可能性があるとみている。
こうした事態を受け、ガブリエル・アタル前首相は19日、暴力行為が起きた地域でSNSへのアクセスを一時的に制限する案を提起した。ただ、実際に遮断措置が取られたわけではない。
その後、21日にはフランスの通信事業者Orangeと低価格ブランドSoshで、約10時間にわたるモバイル通信障害が発生した。Orangeは、コアネットワーク機器の不具合による技術的な問題だったと説明している。こうした状況を受け、通信網がなくても連絡できるBitchatへの関心が高まった。
一方、Bitchatはビットコインベースの電子現金(eキャッシュ)を送受信できるCashu決済機能にも対応する。ただ、第三者による十分なセキュリティ検証が行われていないとの指摘もあり、機微な情報をやり取りする際には注意が必要だ。