Teslaが公開したヒューストンのロボタクシー運行エリア図。写真=Tesla

Teslaは米ヒューストンで、ロボタクシーの運行区域を従来の約10倍に拡大した。ただ、実際に稼働する無人運行の車両は34台にとどまっており、走行可能ルートにも安全面の制約が残る。サービスエリアの拡大をそのまま競争力に結び付けられるかはなお不透明だ。

米電気自動車メディアのElectrekが26日(現地時間)に報じた。Teslaは同日、ヒューストンのロボタクシー運行区域の拡大を明らかにした。

Teslaの公式ロボタクシーアカウントはX(旧Twitter)に、従来エリアと拡大後エリアを比較した地図を投稿した。「Houston, we have liftoff」との文言を添えており、新たなエリアはロケットを思わせる形状で、市街地側へ細長く伸びている。

Teslaは4月にヒューストンでロボタクシーサービスを開始した。当初の運行区域は、ハリス郡北西部のジャージービレッジ、ウィローブルック、FM1960周辺など約25平方マイルに限られ、ヒューストン中心部から離れた限定的なエリアだった。

今回の拡大で、サービス面積は約254平方マイルに広がった。従来の約10倍に当たり、エリアは南東方向に拡張。ヒューストン中心部からベレアまでを含む形となった。

一方で、車両の増強はエリア拡大のスピードに追いついていない。ロボタクシー・トラッカーの集計によると、ヒューストンで稼働中の無人運行のModel Yは34台にとどまる。3カ月前の22台から12台増えたにすぎず、Cybercabはまだ投入されていない。

単純計算では、1台当たりの担当面積は約7.5平方マイルに達する。利用者は拡大後の運行区域内で配車を依頼できるものの、配車の速さや多様な目的地への安定した移動を確保できるかは別問題だ。車両が不足すれば待ち時間が長くなり、利便性が低下する可能性がある。

今回の拡大では、運行区域の形状も話題を集めた。Teslaはヒューストンの地図をロケットのような形で示したが、ネット上では別の形に見えるとの反応も出たという。

Teslaは2025年7月にオースティンで試験サービスを拡大した際も、地図の形状を巡って注目を集めた。ただ、こうした視覚的な演出が、そのまま実際のサービス能力を示すわけではない。

事業拡大の本質的な課題は、安全性の確保と走行可能ルートの拡大にある。Teslaは先週の決算発表後のカンファレンスコールで、ロボタクシー事業拡大の主な制約要因として安全を挙げた。

現在のサービスは比較的単純な道路環境を中心に運用されており、複雑な走行条件への対応はなお課題として残る。踏切のように追加の判断を要する区間も、解決すべきポイントとして挙げられている。

ロボタクシーの実質的な事業規模は、地図上の面積だけでは測れない。稼働車両数、配車効率、走行可能な道路の範囲に加え、多様な交通状況での安全性がそろって初めて、安定したサービスが成り立つためだ。エリアが広くても車両が足りない、あるいは走行制限のある道路が多ければ、利用者が体感するサービス水準は期待に届かない可能性がある。

オースティンでは、車両規模の拡大が進んでいる。Teslaは今年初めにオースティン大都市圏へ運行区域を広げたが、当時の車両数は約20台だった。ロボタクシー・トラッカーによると、現在オースティンで稼働する無人車両は397台で、このうち半数以上をCybercabが占める。ヒューストンでも投入台数が増えれば、エリア拡大の意味合いは変わる可能性がある。

競合のWaymoと比べても、ヒューストンでの拡大手法には違いがある。Waymoは2月からヒューストンで完全無人の乗車サービスを運用しており、5月には国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップを控え、現地のサービス面積を約50平方マイルに広げた。

面積ベースではTeslaの運行区域の方が広い。ただ、両社のサービス規模や運用能力を比較するには、車両数や実際の走行条件まで含めて見極める必要がある。

今回の拡大は、Teslaがヒューストン中心部へサービス範囲を広げた点で一定の意味を持つ。ただ、限られた車両規模と安全面の制約が解消されない限り、エリアの拡大だけで競争力を示すのは難しい。今後は、車両増強と配車効率の改善、複雑な道路環境での安定走行が、Teslaのロボタクシー事業の成否を左右する要因となりそうだ。

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