対立国の軍事技術開発を妨害する秘密部門を米国防総省が新設したと報じられた。写真=米国防総省

米政治専門メディアのPoliticoは、米国防総省が対立国の先端軍事技術の開発を妨害・無力化するための秘密部門「TSO(Technology Support Office)」を今年4月に設置したと報じた。サイバー攻撃やサプライチェーン工作、欺瞞作戦などを支援する組織とされ、活動範囲や議会による監督のあり方を巡って議論が広がっている。

Politicoは、現職および元米国家安全保障当局者12人への取材を基に、TSOの設立経緯と想定される役割を報道した。

TSOは、米国の軍事的優位を脅かしかねない外国の先端技術開発を遅らせたり、機能を封じたりするための技術や戦略を開発する部門とされる。重点分野としては、AIやドローンなどの先端軍事技術が挙げられている。

具体的には、標的に応じたハッキングツールの開発、サプライチェーンの攪乱、偽情報を使った欺瞞作戦などを支援する可能性があるという。対立国が兵器システムに欠陥部品を組み込むよう誘導する手法も検討対象に含まれると伝えられた。

一方、TSO自体が工作活動を直接実行する権限を持つわけではない。軍や情報機関の関連部門が利用できる技術や作戦手段の開発・支援を担う位置付けだとされる。

設立を主導したのは、スティーブ・ファインバーグ(Stephen Feinberg)国防副長官だという。国防総省が2023年から運用してきた2件の機密プログラムを再編したもので、TSOは情報・安全保障担当の次官の指揮下に置かれると報じられている。

ただ、米特殊作戦軍と米サイバー軍は、予算や権限の縮小につながるとして、新組織の設置に反対したという。

秘密裏の運用に対する監督体制も論点となっている。国防総省は一部の議会関係者に説明したものの、実際に報告を受けた議員らはごく少数にとどまるとされる。

これに対し国防総省は、報道内容に異議を唱えた。ジェイコブ・ブリス(Jacob M. Bliss)国防総省副報道官は、Politicoからの質問は事実と異なる前提に基づいているようだと述べた。

TSOが実際にどこまで作戦遂行に関与するのかや、正確な予算規模は明らかになっていない。対立国の技術開発を抑え込む秘密部門の必要性と、それをどう監督するかを巡る議論は今後も続きそうだ。

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