Teslaの「Supercharger」充電所(写真=Tesla)

EV充電所の受電容量不足を補う手段として、エネルギー貯蔵装置(ESS)の活用に期待が高まっている。ただ、現行制度では、系統から受けた電力をESSに蓄え、充電に使う運用は想定されていない。業界は、実証特例に頼るのではなく、制度そのものの見直しが必要だと訴えている。

背景にあるのは、政府のESS政策と分散型エネルギー関連制度が、再生可能エネルギーの補完を主眼に設計されてきたことだ。業界によると、現時点ではESSと充電器を組み合わせた運用は制度上認められておらず、太陽光発電とESS、充電器を一体で設置する場合に限って許容されている。

2023年6月に制定された分散エネルギー活性化特別法(分散エネルギー法)でも、ESSの役割は再生可能エネルギーの活用拡大を支えるものとして位置付けられた。2023年10月に産業通商資源部が公表した「ESS産業発展戦略」も、再エネ拡大に伴う出力変動を補う目的で、2030年までにESS 3.7GWを確保する内容だった。

充電業界の関係者は「法制定時に意見は出したが、十分には反映されなかった」としたうえで、「太陽光は広い用地が必要で、都市部や高速道路のサービスエリアの充電所には併設しにくい」と話す。

一方で、EV充電を取り巻く環境は大きく変わっている。EVの普及に伴い、移動中の急速充電需要は拡大している。

韓国道路公社の資料によると、秋夕連休中のサービスエリアにおけるEV充電件数は2年間で4.2倍に増えた。高速道路を走行するEVは、実質的にサービスエリア以外で充電しにくく、利用は正午から午後3時に集中するという。

業界では、旧正月や週末になると、サービスエリアで充電しにくいとの利用者の不満が強まっているとみている。

ただ、充電器を増設しようとしても、受電容量の確保が壁になるケースが多い。高速道路のサービスエリアの大半は、EV普及前に整備された施設だからだ。

業界によると、京畿道南部につながる送電網は余力が小さいうえ、データセンター需要も重なっている。このため、サービスエリアの相当数では新たな受電や系統接続まで3〜5年を要するという。充電事業権を得ても受電できず、別のサービスエリアへの振り替えを協議する事例も出ている。

こうした中、業界はEV充電所でESSを使えれば、受電制約をかなり和らげられるとみる。充電器の稼働が少ない時間帯に系統電力をESSに蓄え、需要が集中する時間帯に放電して併用すれば、同じ受電容量でもより多くの車両に対応できるためだ。

深夜料金の時間帯や電力需要の低い時間帯に電力を蓄えておけば、電力網の過負荷や設備停止のリスクを抑えられるとの見方もある。使わない時間帯に蓄電しておくことで、引き込み電力が小さくても、受電設備増強の一部を代替できるという。

今後、480kW〜600kW級以上の超急速充電器「Supercharger」が本格導入された場合でも、同時充電で急増する電力需要に対応しやすくなるとの期待もある。

中国では、充電器ごとに小型ESSを組み合わせ、受電容量を上回る出力を出す充電所がすでに運用されているという。日中に余剰となる太陽光電力を蓄え、充電需要に振り向けられる点も利点として挙げられている。

もっとも、政府のESS政策における位置付けは、足元でも再生可能エネルギー中心だ。分散エネルギー法は先月15日の改正により、12月16日から設備容量1MW以下の住民参加型再生可能エネルギー発電事業について、他事業者に先立って配電網に接続できるようにした。

同法には、電力をESSに蓄えて販売する「貯蔵電気販売事業」の規定がある一方、充電所でESSを活用する方式を直接定めた条文はない。

政府が打ち出したメガプロジェクトでも、ESSは湖南圏の半導体クラスター向け電力を、地域の再生可能エネルギーやコージェネレーション、液化天然ガス(LNG)発電と組み合わせて供給する手段として位置付けられた。増加する充電需要への対応策としてESSを活用する考え方は、政策に反映されていない格好だ。

業界は政策提案書を提出し、ESSと充電器を組み合わせて系統電力を蓄え、販売できるよう求めている。これに対し政府は、その都度、規制サンドボックスで先に実証するよう求めるケースが多いというが、業界ではそれだけでは不十分だとみている。

サンドボックス実証が制度改正につながる例は多くなく、時間と費用だけがかかり、結果も保証されないとの指摘もある。

業界は、すでに法律で貯蔵電気販売事業が認められている以上、系統電力を蓄えて充電に使う運用をEV充電所にも広げられるはずだと主張する。関係者は「リン酸鉄リチウム(LFP)電池のように火災リスクを抑えたESSも使われており、充電所への併設は可能だ」と話した。

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