通信大手3社で、長期契約者向け特典の再編が進んでいる。従来の料金直接割引から、クーポンや文化・レジャー体験を中心とする施策へと比重が移る一方、実際に得られるメリットが利用条件や抽選結果に左右されるとして、実効性を疑問視する声も出ている。
まず、長期利用を前提とした結合割引商品の見直しが相次いでいる。
SK Telecomは8月1日、代表的な長期利用者向け結合商品「T On Family Discount」の新規受付を終了した。既存契約者向けの特典は維持するが、新たな結合グループの作成や既存グループへの回線追加、解約後の再加入は原則として認めない。
同商品は、家族の携帯電話とインターネットの加入年数を合算し、料金を割り引く仕組み。合算加入期間が20年以上30年未満なら月額料金を10%、30年以上なら30%割り引く。
その代替策として、SK Telecomは「Nowadays Family Bundle」の加入条件を緩和した。従来は携帯電話とインターネットの併用が必要だったが、7月からは携帯電話2回線だけでも結合できるようにした。
KTも7月31日から、既存の「モバイル定率型割引オプション」契約者について、新たな携帯電話回線の追加を制限した。同商品は回線数や料金プランなどに応じて割引率が決まる仕組みで、既存契約者への割引は維持する。
LG Uplusは6月、月額2万8000~3万3000ウォンの統合料金プラン3種を家族結合割引の対象から外したが、8月27日から再び適用対象に戻した。
こうした制度見直しと並行して、3社はクーポンや体験型施策を軸に長期契約者特典を拡充している。
SK Telecomは6月、「T Long-Term Customer Program」を改編し、加入10年以上の利用者向けに体験型特典を強化した。グルメや公演、遊園地などを楽しめる「T Long-Term Customer Day」が代表例だ。
先月には「Adventure Day」プログラムを通じ、長期契約者と同伴者の計3000人をソウル・蚕室のロッテワールドに招待した。
KTは2024年8月から「Long-Term Customer Thanks Dream」プログラムを運営している。従来はモバイル中心だった特典の対象をインターネットとテレビ利用者まで広げ、サブスクリプション商品や文化体験プログラムを追加した。
文化行事に利用者を招待する「Invitation Dream」も展開している。スポーツ観戦や音楽フェスティバル、キャンプなどのプログラムに、長期契約者が応募する方式だ。
LG Uplusは文化・レジャー体験の拡大に力を入れている。今年は長期契約者向けに、レゴランド、ミュージカル、マラソン、樹木園招待など計8回のプログラムを用意した。来年は年24回まで拡大する計画としている。
各社は、利用者が好みに応じて特典を選べる点をアピールする。選択肢を広げることで、利用者ごとの需要に対応できるという考え方だ。
ただ、クーポンは実際に使って初めてメリットが生じ、体験型特典は抽選が前提となる場合が多い。このため、実際の恩恵が見えにくいとの指摘がある。
例えば、SK Telecomが5月にEverlandで実施した「Forest Day」では、長期契約者と同伴者の1800人を招待したが、応募倍率は最高863倍に達した。
KTが提供するサブスクリプション商品の割引クーポンも、対象サービスを利用して初めて使える。データや通話関連のクーポンについても、契約中の料金プランや利用量によって使い勝手が変わる。
LG Uplusが19日に実施した樹木園招待イベントには約4万6000人が応募した。長期契約者と同伴者などを含めた招待人数は5000人で、同社が公表した倍率は9.2倍だった。
約20年にわたり同じ通信会社を利用してきたという50代の契約者は、「クーポン特典を探したり、抽選プログラムに応募したりすること自体が面倒だ。最も分かりやすく実感しやすいのは、やはり料金の直接割引だ」と話した。
市民団体からは、通信サービスの公共性を踏まえ、より普遍的な料金特典を提供すべきだとの意見も出ている。抽選によって一部の契約者だけが恩恵を受ける仕組みは、不公平を生みかねないという指摘だ。
参与連帯の民生経済チーム長、キム・ジュホ氏は「通信は他のサービスと異なり、公共資産である周波数を基盤としているため、公共サービスとしての性格が強い」とした上で、「料金そのものを普遍的に、すべての消費者に公平なものにするのが適切だ」と述べた。
同氏は、料金割引と違って、利用者に還元される特典の規模が外部から見えにくい点も問題視した。「加入者ごとにアクセスのしやすさが異なるクーポンや体験プログラムは、別の形の差別になり得る」とし、「科学技術情報通信部をはじめ政策当局の積極的な対応が必要だ」と強調した。