AIを活用したウェアラブル機器の競争が、ペンダント型やリング型、手首装着型、ポータブル型へと広がっている。会議や通話の内容を記録・要約する生産性重視の製品に加え、ユーザーの感情に反応するAIコンパニオンも登場しており、市場は用途の多様化が進んでいる。
米TechCrunchが10月25日(現地時間)に報じたところによると、足元で投入された、または開発が進んでいるAIウェアラブルは、会話の記録、日程管理、パーソナライズした助言、感情面のサポートなど、それぞれ異なる機能を前面に打ち出している。OpenAIも小型のAIコンパニオン端末を準備しているとされ、関連市場への関心は一段と高まっている。
生産性重視の分野では、Amazonが2025年7月に買収したウェアラブル新興企業Beが注目される。既存の49.99ドル(約7500円)のペンダント型端末は、周囲の会話を記録し、ユーザーの業務や嗜好を学習してメモや通知を提供する。プライバシー保護のため、ミュートボタンも備える。専用アプリは月額19ドル(約2850円)で利用する。
Amazonは今月初め、Be FrontierとBe Eclipseも披露した。Be Frontierは74.99ドル(約1万1250円)で、手首に装着するほか衣服にも取り付けられる。Be Eclipseは99.99ドル(約1万5000円)で、スマートフォン背面に磁石で装着するカード型製品だ。いずれも既存製品の中核機能を引き継ぎ、Alexaとの連携にも対応する。
感情に寄り添うコミュニケーションを掲げる代表例がFriendだ。129ドル(約1万9350円)の白いペンダント型端末で、ユーザーの話し方や気分を把握し、必要に応じて先回りしてメッセージを送るAIコンパニオンをうたう。面接を控えたユーザーに励ましの言葉を送るといった使い方を想定する。一方で、周囲の会話を聞き取る機能を巡っては、プライバシー侵害への懸念も指摘された。
Friendは最近の「Friend 2.0」アップデートで、音声機能と内蔵スピーカーを追加した。端末と直接会話できるようにし、AIの個性をより強める方向で改良したとしている。
会話記録を業務に生かしたい需要も取り込む。Limitlessは99ドル(約1万4850円)のペンダント型端末で、会議や通話の内容を記録し、検索可能な会話ログと要約を提供する。基本アプリでは毎月10時間分の書き起こしと要約に対応し、月額29ドル(約4350円)のプランでは無制限で利用できる。
PlaudのNotePinは159ドル(約2万3850円)で、弁護士や記者、学生など記録の重要性が高いユーザー層を想定する。磁石で衣服に装着するほか、手首に着けることもできる。録音した内容を文字起こし・要約し、手書きメモの負担を減らす。基本の文字起こし時間は月300分で、月額8.33ドル(約1250円)のProプランでは1200分まで増える。179ドル(約2万6850円)の超薄型端末「Plaud Note Pro」も予約を受け付けている。
AIを個人記録や自己理解に活用する製品も登場している。Meta Reality Labs出身者が設立したNirvaは、ペンダント型やブレスレット型の端末を通じて日常の体験を個人ジャーナルとして整理し、感情や習慣、コミュニケーション傾向に関するインサイトを提供することを目指す。価格は249ドル(約3万7350円)。11月に受注を始め、年末に初期出荷を進める計画という。
Omiは89ドル(約1万3350円)で、質疑応答、会話要約、ToDoリスト作成、日程調整の機能を備える。ネックレスのように身に着ける方式に加え、医療用テープで頭部の横に貼り付け、ユーザーが独り言のように話しかける瞬間を検知する使い方も示した。
Metaは9月、ポケット型のAIウェアラブルも公開した。出荷前のこの機器は、小型ディスプレイとキーホルダー型のデザインを採用し、デジタルアバター「Joly」を通じてAIアシスタント「Muse」とやり取りする設計とした。音声命令で作業を依頼する仕組みだ。
ポータブル型AI機器のRabbit R1は199ドル(約2万9850円)で、タッチスクリーンと回転カメラを備える。発売当初はソフトウェア面の問題で苦戦したが、その後のアップデートで機能を拡充した。最近では、ユーザーがツールやゲームを作成できる「Creations」機能も加わった。スマートフォンの代替というより、航空券予約や飲食店の注文、アプリ操作を補助する役割を狙う。
リング型製品も競争に加わった。Sandbarが公開した「Stream Ring」は、マイクを初期設定でオフにしておき、ユーザーが上部のタッチパネルを押した時だけ作動する。長押しで音声メモを残したり、スマートフォンアプリ上のAIアシスタントと連携したりできるほか、音楽再生の操作にも対応する。価格は299ドル(約4万4850円)で、シルバーとゴールドのモデルを投入する予定だ。
AIウェアラブル市場は、なお定番の形状や用途が固まっていない。会話の記録や業務自動化を前面に出す製品がある一方、感情をくみ取る対話や自己理解の支援を打ち出す製品も現れている。価格競争力、プライバシー保護の仕組み、スマートフォンとの連携水準が、今後の主導権を左右する要素になりそうだ。