ビットコインのブロックチェーンに3週間にわたって繰り返し書き込まれている正体不明の文字列について、Galaxy Digitalの調査部門Galaxy Researchは、実際の暗号メッセージではなく、自動化ツールのテストデータである可能性が高いとの分析を示した。
CoinPostが10月26日(現地時間)に伝えたところによると、Galaxy Researchは最近ビットコインネットワーク上で確認されたこの文字列の記録活動を分析した結果、特定のメッセージを伝達する目的よりも、試験的な性格が強いと判断した。
問題の文字列は、3週間にわたり1日あたり約40件のペースでビットコインのブロックチェーンに記録された。Galaxy Researchによれば、1日あたりの記録件数は当初約12件だったが、その後24件、さらに約40件へと増加した。データは、トランザクションに任意の情報を書き込めるOP_RETURNを通じて保存されていた。
こうした書き込みが可能になった背景には、Bitcoin Core v30での制限緩和がある。2025年10月に公開された同バージョンでは、OP_RETURNによるデータ記録について、バイト数の上限や1トランザクションあたりの許容件数に関する制限が緩和された。今年5月には、この機能を使って米国憲法の前文をブロックチェーンに記録した事例も確認されている。
Galaxy Researchは今回の文字列記録に使われた資金についても分析し、米国憲法前文の書き込みに使われた資金と同じ出所から流入した可能性があると指摘した。資金の流れは今年5月の3回にわたる少額の取引所出金にさかのぼり、総額は0.033BTCとされる。ただ、実際の運営主体の特定には至っていない。
現時点でこの活動に投じられた資金は、約333万サトシとみられる。このうち約24%がマイナー手数料として支払われ、残りは関連アドレスに残っているという。
Galaxy Researchは、文字列が実際の暗号文である可能性も低いとみている。分析対象となった562件のテキストでは、アルファベット26文字の出現頻度がそれぞれ3.6~4.2%とほぼ均等だったためだ。一般的な言語でみられる文字頻度の偏りとは異なり、単純置換暗号とは考えにくいと説明した。反復鍵を使うビジュネル暗号に特有の統計的特徴も確認されなかったという。
記録パターンにも自動化の痕跡が見られた。長い文字列は6時間ごと、短い文字列は90分ごとに投稿され、夜間や週末も一定の周期が維持されていた。Galaxy Researchは、メッセージ伝達ではなくツールの動作テストに近い可能性があるとして、過度な意味づけは避けるべきだと注意を促している。
今回の事例は、ビットコインのブロックチェーンに金融取引以外のデータを書き込むことを巡る論争をあらためて浮き彫りにした。反対派は、こうした記録の増加がビットコイン本来の用途を損ない、ネットワーク資源に負荷をかけると懸念する。一方、支持派はオンチェーン活用の幅を広げるものだと主張する。OP_RETURNの制限緩和後に記録事例が増えるなか、ビットコインネットワークでどこまでのデータ書き込みを許容すべきかを巡る議論は今後も続きそうだ。