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顧客対応の現場でAI導入が急速に進んでいる。定型的な問い合わせはAIが担い、人の担当者は複雑な問題解決や共感を求められる対応に軸足を移しつつある。一方で、難度の高い案件が現場に集中し、負担増やバーンアウトを懸念する声も出ている。

米CNBCが24日(現地時間)に報じたところによると、企業は定型的な業務をAIに任せ、人は判断や感情面のケアが必要な対応に注力する体制へ移行している。

現場の受け止めは分かれる。CS部門で働くケイリー・ハリスは、以前は電話応対やメモ作成、規約の説明に多くの時間を取られていたが、現在は顧客一人ひとりにより向き合えるようになったと話す。事務的な作業をAIが引き受けることで、応対の質を高める時間を確保しやすくなったという。

その一方で、英国ウェールズのカーディフで通信会社の顧客対応を担うシャノンは、AIが作成するメモの誤りが多く、都度修正が必要だと指摘した。以前勤務していた不動産サービス会社では、「分からなければChatGPTに聞け」という運用が行われていたほか、AIエージェントが予約を受け付けても希望日程に合わない場合は結局人の担当者に回されていたという。結果として複雑な案件が人に集中し、バーンアウトにつながりやすくなったと説明した。

企業側は、AIによる自動化を顧客対応業務の効率化策と位置付けている。ロンドンに本社を置く音声AI開発企業PolyAIの共同創業者兼CEO、ニコラ・ムルクシッチは、コールセンターの担当者が低賃金や成果への圧力の中で、顧客の不満を直接受け止める場面は少なくないと指摘。その上で、AIは顧客と従業員の双方にとって、より望ましい環境づくりに役立つ可能性があると述べた。

導入事例も広がっている。英国の通信・メディア企業Virgin Media O2は9月、AI音声担当者を導入した。反復的な問い合わせはAIが処理し、人の担当者は複雑な案件や機微な対応に集中する仕組みだとしている。

ただ、AIが単純業務を引き受けるほど、現場の担当者にはより難しい業務が集まりやすくなる。MaxContactのレポート「2025・2026年英国コンタクトセンターKPIベンチマーキング・インサイト」によると、調査対象となった意思決定者の過半数が、担当者の業務量は増えたと回答した。2024年の約40%を上回ったが、レポートでは業務増の要因までは特定していない。

キングス・カレッジ・ロンドンで組織行動と未来の労働を研究するアマンダ・ジョーンズは、AIがコールセンター業務の負荷を高める可能性があると警鐘を鳴らす。顧客が人の担当者につながる時点で、すでに不満が強まっている可能性があるほか、単純な対応が減ることで、心理的な負担を和らげる余地も小さくなるという。加えて、生産性の向上がさらに高い成果目標の設定につながる恐れや、反復業務の自動化によって従業員が業務を学ぶ機会が減る点も問題視した。

担当者の評価基準を見直すべきだとの声も上がっている。決められたスクリプトに従ったか、一律の処理時間目標を守ったかといった尺度だけで成果を測るべきではない、という主張だ。

現場では、AIの有用性を認める一方で、顧客体験の悪化を懸念する見方も根強い。ハリスは、システム障害によって業務量が増える場面はあるとしつつも、全体としては利点が大きいと評価した。その半面、自動化の拡大が最終的に顧客満足を犠牲にする方向へ向かう可能性もあると指摘した。

AIによる自動化が広がる中、現場ではシステム障害への対応や高難度の苦情処理による負担をどう抑えるかが課題になっている。あわせて、担当者の実態に合った評価基準への見直しも求められる。AIが応対品質の向上につながるのか、それとも現場負担と顧客不満を増幅させるのかは、企業がどのように導入し、運用するかにかかっている。

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