米証券取引委員会(SEC)。写真=Shutterstock

米証券取引委員会(SEC)は2027年度の優先検査項目にAIとトークン化を新たに加えた。資本市場に新たな影響を及ぼす技術として位置付け、市場運営や投資家保護、登録業者のコンプライアンス体制を重点的に点検する。

ブロックチェーンメディアのDecryptが23日(現地時間)に報じた。SEC検査局が公表した2027年度の優先検査方針では、「市場運営、コンプライアンス、詐欺防止、投資家保護に影響を及ぼし得るAIおよびその他の先端技術」を正式な検査対象に盛り込んだ。

今回の見直しでは、AIに対するSECの視点の変化がうかがえる。これまでは投資助言会社などが導入する業務ツールとしてのAI活用が主な関心領域だったが、今回は市場全体に影響し得る技術として扱いを広げた。

SECはこれを「新興技術」に分類し、登録業者が利用するAIツールについて、コンプライアンス・プログラムや不正検知体制に及ぼす影響を確認する方針を示した。

トークン化も新たな重点項目に加えた。SEC検査局は市場インフラ分野に関し、「米国債の清算改革、トークン化および関連する進展を含む、進化する市場インフラに関するリスク」を優先的に点検するとしている。

これにより、トークン化商品の取り扱いを広げてきたブローカー・ディーラー、投資助言会社、名義書換代理人は、実際の検査でコンプライアンス体制全般を詳しく確認される可能性が高まった。

今回の優先検査項目は、SEC検査局の監督対象となる3万4000超の登録業者に適用される。対象には投資助言会社、投資会社、ブローカー・ディーラー、清算機関、名義書換代理人が含まれる。

SECはまた、このリストが検査対象を限定するものではないと明記した。検査官は連邦証券法の順守に関わる事項全般を、裁量に基づいて確認できるとしている。

キース・キャシディ局長は今回の方針について、市場環境の変化に対応したものだと説明した。SEC資料では「我々のアプローチは、変化する市場環境への適応、進化するリスクパターンの特定、新たな脅威への対応、そして投資家と市場が脆弱になり得る領域の予測を可能にする」と述べた。

今回の見直しは、最近の監督方針の変化の延長線上にある。SECは2025年11月に公表した2026年度の優先検査項目で、2021年以降初めて暗号資産を独立項目から外していた。

当時は、ポール・アトキンス体制下のSECが、ゲーリー・ゲンスラー時代の強硬な執行姿勢からやや距離を置くシグナルだと受け止められた。

もっとも、2027年度の文書でも暗号資産を独立項目として復活させることはなかった。その代わり、この1年で資本市場への影響が大きかった技術テーマとして、AIリスクとトークン化を優先検査項目に組み込んだ。

SECは暗号資産全体を一括りにして扱うのではなく、市場インフラや市場運営に影響する技術要素ごとに監督の重点を置く姿勢を示した格好だ。

関連業界の関心は大きく2点ある。1つは、AI活用が内部統制や不正検知体制の面で、どのような基準で評価されるのかという点だ。

もう1つは、トークン化商品を扱う金融機関が、商品そのものだけでなく、コンプライアンス・プログラムや運用手順、投資家保護の仕組みをどこまで整備しているかという点にある。

SECが優先検査項目として明記したことで、今後の実地検査では、単なる技術導入の有無ではなく、その技術が市場運営と投資家保護に与える影響が中心的な検証対象になる可能性が高い。

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