PayPal共同創業者で投資家のピーター・ティール氏が、スティーブ・ジョブズ氏亡き後のAppleについて、「新しいものは何もなかった」と批判した。iPhone以降の成長は革新ではなく、既存製品の拡大とブランド強化によるものだったとの見方を示している。
Business Insiderが10月24日(現地時間)に報じたところによると、ティール氏は9月に作家ウォルター・アイザックソン氏と収録した「Builders Podcast」のインタビューで、Appleについて「私の見方では、スティーブ・ジョブズ以降、新しいものは何もなかった」と語った。インタビューは10月22日に公開された。
ティール氏は、iPhoneを「巨大な発明」と評価する一方、その後のAppleは革新そのものより、既存製品のスケール拡大やブランド構築に軸足を置いてきたと指摘した。携帯電話は大きな発明だったが、その後の約15年は規模拡大、ブランド強化、事業拡張の局面だったという見立てだ。
Appleを巡っては、iPhoneやタブレットに続く新たな革新を打ち出せていないとの指摘が続いてきた。AI競争が激化するなか、音声アシスタント「Siri」がChatGPTやAnthropicのAI製品に比べて出遅れているとの見方も出ている。
Appleは2007年、サンフランシスコで初代iPhoneを公開した。今週には、折りたたみデザインを採用した新型iPhoneも発表したと報じられている。
一方で、同社の製品群が高い競争力を維持している点も見逃せない。MacBookはAI業界の関係者から一般消費者まで幅広く利用されるノートPCとして定着しており、iPhoneも世界的に広く普及している。2016年発売のAirPodsも、独自のデザインを背景に普及を進めた。
ティール氏は、Appleの事業運営や収益性そのものを否定したわけではない。Appleを「うまく経営されたバリュー株」と評する一方、ジョブズ氏の死後は企業としてのビジョンが弱まったと指摘した。
そのうえで、「ある意味では、イーロン・マスク氏やスティーブ・ジョブズ氏の方が、ティム・クック氏よりも社会にとってはるかに良い」とも述べた。
ティール氏は2017年にも、ニューヨーク・タイムズのモーリーン・ダウド氏とのインタビューで、Appleの時代は終わったと主張していた。ただ、その後もApple株は着実に上昇している。
革新性を巡る批判がある一方で、Appleは強固な製品エコシステムとブランド力、安定した事業運営を維持してきた。今回の発言は、iPhone以降のAppleが次の技術転換を主導できるのかという議論を改めて呼び起こしている。AI競争が本格化するなか、既存のハードウェア競争力を超える新たな成長ドライバーを示せるかに関心が集まっている。