NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、台湾の半導体産業が世界的な競争力を築いた背景として、海外企業との長年にわたる協業、政府の産業育成政策、そして製造技術の蓄積を挙げた。
TechRadarが24日付で伝えたところによると、フアン氏はポッドキャスターのレックス・フリードマン氏との対話で、欧州企業との連携が台湾の電子産業の技術基盤づくりに寄与したと説明した。台湾は現在、世界最先端の半導体の90%超を生産し、グローバルな技術サプライチェーンで中核的な役割を担っているという。
こうした流れは1950年代にさかのぼる。当時、台湾で経済企画を担っていたリ・クオティン氏は、国内の製造技術を発展させるため、海外企業との協力を積極的に進めた。
その過程でオランダの電機大手Philipsを誘致し、同社の参入が台湾の電子産業に産業知識や生産技術を取り込む契機になったとされる。
その後、Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)は先端半導体のファウンドリーで中核企業へと成長した。一方、オランダの装置メーカーASMLは、半導体生産に不可欠な露光装置分野のリーディング企業として存在感を高めた。
両社は事業領域も成長の歩みも異なるが、Philipsを含む初期の国際的な産業協力は、台湾の技術基盤形成を支えた要素の一つと位置付けられる。ただ、現在の半導体産業が特定企業との協力だけで形作られたわけではない、というのがフアン氏の見立てだ。
台湾の電子産業の成長は、パーソナルコンピュータ(PC)市場の拡大とも軌を一にした。IBMがPCアーキテクチャの仕様を公開し、他社が互換製品を製造できるようになったことで、関連部品やチップセットの需要が拡大した。
台湾企業は、チップセット設計やコンピュータ部品の供給を通じて成長機会をつかんだ。TSMCとUnited Microelectronics(UMC)は、それぞれ異なる戦略と発展過程を経て、主要な半導体メーカーへと成長したという。
マイケル・デル氏がコンピュータ事業を立ち上げた時期には、台湾のサプライヤーも国際的な部品サプライチェーンの一角を担った。ただ、デルの成功は部品調達だけでなく、直販モデルや事業運営にも支えられており、IBMの影響もPhilipsとの初期協力とは異なる段階の産業発展に当たるとした。
フアン氏の説明は、台湾の半導体競争力が、海外企業との協業を起点に、市場変化への対応や継続的な投資、技術革新を積み重ねることで形成されたことを示している。台湾は現在も、世界最先端の半導体生産で圧倒的な地位を維持している。
とりわけAIの普及で高性能プロセッサの需要が拡大するなか、台湾の先端半導体の生産能力の重要性は一段と高まっている。各国政府や技術企業が安定したチップ供給網の確保を急ぐ一方、台湾が蓄積してきた生産技術や製造ノウハウを他地域が短期間で再現するのは難しいとの見方も出ている。