Bain & Companyは、AI業界が現在の投資ペースを維持するには、2031年までに年6兆ドル(約900兆円)規模の売上が必要になるとの試算を示した。既存のAIサービス収益だけでは賄いきれず、検索や広告の刷新、自動運転、創薬など新たな市場の立ち上がりが焦点になる。
米TechRadarが10月4日付で報じた。Bain & Companyは、2031年のAIインフラ支出が年1兆5000億ドル(約225兆円)に達すると予測している。対象には、データセンターのほか、プロセッサ、メモリ、ネットワークなどが含まれる。これらの投資額が売上の25%を占めると仮定すると、必要な売上は年6兆ドルとなる。
一方、既存事業から見込める収益には限界がある。Bain & Companyは、消費者向けAIのサブスクリプションと広告収入が2000億〜4000億ドル(約30兆〜60兆円)、ソフトウェア開発、営業、顧客支援など企業向けAIが1兆〜1兆4000億ドル(約150兆〜210兆円)を生み出すと推計した。
ただ、上限ベースで合計しても1兆8000億ドル(約270兆円)にとどまる。残る約4兆2000億ドル(約630兆円)は、検索・広告の高度化に加え、自動運転や産業オートメーション、ロボットやデジタルツインを含むフィジカルAI、新薬開発やエネルギー分野などの新市場で補う必要があるとしている。
企業のAI導入を後押しする投資も拡大している。先行するAI企業は、顧客企業にエンジニアを派遣して導入を支援する「Forward Deployed Engineering」モデルに、97億5000万ドル(約1兆4630億円)超を投じているという。
インフラ拡大のスピードも速い。Bain & Companyによると、主要AIデータセンターの規模とコストは、おおむね12〜16カ月ごとにほぼ倍増している。これに伴い、電力の供給・送電網、先端半導体、熟練人材の確保にかかる負担も増している。
Epoch AIは、この傾向が続いた場合、2030年には世界最大級のAIスーパーコンピュータが約200万個のAIチップを搭載し、9GWの電力を消費する可能性があると見ている。ハードウェア費用だけでも2000億ドル(約30兆円)に達する見通しだ。
AI投資競争の持続性を左右するのは、巨額の計算資源そのものではない。それを正当化できる新たな経済価値を、どれだけ早く市場で生み出せるかが問われている。