欧州の主要決済事業者5社は5日、各国で展開する既存の決済サービスを維持したまま、越境送金・決済を可能にする共同決済ネットワーク「欧州決済ネットワーク(ENP)」を立ち上げた。米国系のグローバル決済ネットワークへの依存を減らし、欧州域内の決済主権を高める狙いがある。
TechRadarが5日に報じたところによると、参加したのはイタリアのBancomat、スペインのBizum、ポルトガルのSIBS-MB WAY、北欧のVipps MobilePay、そして欧州決済イニシアティブ(EPI)の計5社。EPIはモバイル決済サービス「Wero」を運営している。5社は2月に締結した覚書に基づき、マドリードに共同法人を設立した。
ENPは既存サービスを一本化するのではなく、各社の決済網を共通の技術基盤・運用基盤で接続する仕組みだ。利用者は従来のアプリやブランドをそのまま使いながら、他国の利用者への送金や決済を行える。参加5サービスの利用者数は欧州13カ国で約1億3000万人に上るという。今後は他の欧州決済事業者の参加も見込む。
まずは越境の個人間送金(P2P)から始め、その後は電子商取引や実店舗での決済へ広げる計画だ。口座間送金(A2A)を基盤に汎欧州の決済網構築を進め、2027年までに円滑な越境決済の実現を目指す。
背景には、欧州の決済市場が海外事業者に依存している現状がある。欧州中央銀行によると、2022年のユーロ圏のカード決済の約61%は国際カードネットワークが処理した。ユーロ圏13カ国は国内カード網を持たず、国際ネットワークに依存していたという。
欧州委員会も、欧州の電子決済市場は少数のグローバル事業者への集中が進んでいると指摘している。また、各国の決済サービスはQRコード、NFC、Bluetoothなど技術標準の違いから、国境を越えた展開が難しいとしている。ENPは各国の有力サービスを接続することで、こうした分断を解消し、汎欧州の決済手段を整備する考えだ。