プライバシーコインのZcash(ZEC)が急騰する中、ビットコイン強気派として知られるサムソン・モウ氏が、Zcashの時価総額は過大だとの見方を示した。ZECは一時1600ドル近辺まで上昇した後、足元では1300ドル台へ調整している。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが5日(現地時間)に報じたところによると、モウ氏は、ZECが直近で1600ドル近辺まで買われた後に1300ドル台へ反落した動きに言及したうえで、年初来で1000%超上昇した現状の時価総額は行き過ぎだと主張した。
同氏は、Zcashの時価総額は不自然に膨らんでおり、いずれ平均回帰すると指摘した。さらに、時価総額220億ドル超(約3兆3000億円)で主要暗号資産の一角にとどまるだけの投機資金は、市場に十分ではないとの見方も示した。
今回の発言は、ビットコイン重視の陣営がプライバシーコインに対して従来示してきた見方を改めて打ち出したものだ。モウ氏を含むビットコイン支持者は、Lightning Networkなどのビットコインのレイヤー2で、必要な水準のプライバシーはすでに確保できると主張してきた。
モウ氏の批判材料としては、Zcashを巡る過去の開発者報酬、高いファンド手数料、中央集権的なガバナンス、Electric Coin Company(ECC)が過去に抱えた人材不足などが挙げられている。
一方で、モウ氏が率いるJAN3は、独自のOMEGA60モデルやPower Lawを根拠に、ビットコイン価格が2028〜2033年に100万ドル(約1億5000万円)へ達する可能性があるとの見通しを示している。こうした立場では、アルトコインへの流動性分散はビットコインへの資金集中を弱め、戦略的に非効率だと位置付けられる。国家レベルでビットコイン採用が広がれば、価格上昇のペースがモデル予測を上回る可能性があるとの期待も背景にある。
これに対し、Zcash支持者は足元の上昇を単なる過熱ではなく、インフラ面の変化を織り込んだ動きとみている。開発チームはZcashのテストネットでNU7アップグレードを有効化しており、これによりブロック生成速度は3倍に高まると見込まれている。市場では、これが弱気見通しに対抗する有力材料として受け止められている。
流動性面でも動きが出ている。THORChainではプール提供が始まり、GrayscaleのZcash現物ETFには3億600万ドル(約459億円)が流入した。ただ、同ファンドでは今週、初めて9300万ドル(約140億円)の流出も記録した。資金流入が続く一方で大口の流出も表面化し、Zcashを巡る期待と警戒が同時に強まっている。
こうした中、市場では技術面の期待と規制圧力がせめぎ合っている。ZECが1280〜1330ドルのレンジを維持できるかが当面の焦点だ。この水準を下回れば、モウ氏が指摘した「平均回帰」懸念が現実味を増し、上昇局面の調整が深まる可能性がある。逆に、アップグレード効果と流動性の下支えが続けば、今回の急騰の持続性が改めて問われることになりそうだ。
モウ氏は「数十億ドル規模のZcashの時価総額を維持できるだけの資金を持つ投資家は、世界にそれほど多くない。いずれ平均回帰が起きる」と述べた。