機関投資家によるビットコイン投資は、現物を単純に保有する段階から、株式や優先株、債券などを組み合わせる資本市場戦略へと軸足を移しつつある。TD Cowenは、今後の投資判断ではビットコイン価格そのものに加え、資本構成や資金調達力、事業基盤の見極めが重要になるとの見方を示した。
Bitcoin Magazineによると、TD Cowenのマネージング・ディレクター、ランス・ビタンザ氏は5日、ビットコイン財務戦略をテーマとするイベント「Bitcoin Treasuries Conference」で、機関投資家の関心が変化していると指摘した。
同氏によれば、投資家の関心は従来の「ビットコインを保有するか」から、「どのような資本構成で保有するか」へ移っている。現物に加え、ビットコイン関連企業の普通株や優先株、債券、配当収入を狙う商品などを組み合わせる手法が広がっているという。
これに伴い、ビットコイン関連投資を評価する基準も変わりつつある。単に価格上昇の有無を見るのではなく、資金調達の仕組みや下落耐性、企業の事業基盤まで含めて判断する必要があるとした。
特に下落局面では、ビットコイン財務戦略を採る企業の間で差が広がる可能性がある。ビタンザ氏はStrive、Metaplanet、Nakamotoを例に挙げ、ビットコイン以外の事業基盤を持つ企業は、市場低迷時に相対的に優位に立つ可能性があると分析した。
企業価値は、単にビットコインを保有している事実だけでは決まらない。価格下落時にも耐え得る事業基盤と資金調達力が競争力を左右する、というのが同氏の見立てだ。
指数組み入れの有無も変動要因として挙げた。ビタンザ氏は、ビットコイン財務戦略企業がMSCI指数から除外された場合の影響を点検した。一方で、長期的な競争力を左右するのは指数採用そのものではなく、各社の資本構成と資金調達力だとみている。
市場の信頼性に関する課題にも言及した。ビットコインが機関投資家の主要資産として定着するには、ブロックチェーン取引の監視やフロントランニングといった市場秩序を巡る懸念の解消が欠かせないと指摘した。機関マネーの流入が拡大するほど、価格形成の信頼性が重要になるためだ。
価格見通しとしては、2027年に13万2000ドルを示した。同時に、運営に優れたビットコイン財務戦略企業であれば、ビットコイン自体のリターンを上回る可能性もあると述べた。
この観点から見ると、Strategyのような企業も、単なる「ビットコインの代替投資手段」としては捉えきれない。保有量だけでなく、優先株や債券を活用した資金調達手段、事業基盤、下落局面への対応力まで含めて総合的に評価すべきだとした。
最終的に、機関投資家のビットコイン戦略は「ビットコインを買うか」から、「どのような金融構造でビットコインを活用するか」へ移行している。今後は現物価格に加え、関連企業の資金調達力や商品設計、事業の安定性が新たな投資判断の軸として浮上しそうだ。