ビットコインの長期保有者が、今回の弱気相場でも全体として含み益を維持していることが分かった。オンチェーン分析会社Glassnodeによると、長期保有者の収益性を示す指標「LTH-MVRV」はサイクル安値でも1を下回らず、2015年以降の弱気相場では初めてのケースになったという。
Glassnodeは、155日以上動いていないビットコインを保有する投資家を長期保有者(LTH)と定義する。LTH-MVRVは、長期保有者が保有するビットコインの時価総額を実現時価総額で割った指標で、1を上回れば全体として含み益、1を下回れば含み損の状態を示す。
注目されるのは、今回の下落局面でこの指標が損失圏に沈まなかった点だ。Glassnodeは、長期保有者が「今回のサイクル全体を通じて含み益を維持した」と説明し、「少なくとも2015年以降の弱気相場では前例がなかった」としている。
過去の弱気相場では、サイクル安値のたびにLTH-MVRVが1を割り込み、長期保有者全体が含み損に転じていた。これに対し今回は、指標が1を上回る水準で底打ちした後、足元では再び上昇基調を示している。長期保有者全体の平均取得価格が、過去のサイクルに比べ相対的に低い水準で形成されていたことを示唆する。
実際の価格推移もこれを裏付ける。ビットコインは2025年10月に付けた過去最高値の約12万6000ドルから、2026年6月30日には5万8379ドルまで下落し、高値からの下落率は約54%に達した。その後は持ち直し、10月4日時点では8万ドル台半ばで推移した。
もっとも、長期保有者の内部でも損益状況には差がある。高値圏で取得した保有分は、なお損失圏にある。Glassnodeが4日に公表したデータによると、1〜2年前に取得したビットコインの平均取得単価は約9万7000ドル、6〜12カ月前に取得した分も約8万9000ドルで、いずれも足元の価格を上回った。10月4日時点のGlassnodeデータでも、該当期間の実現価格はそれぞれ約9万7259ドル、約8万8852ドルとなっている。
売却動向にも保有期間ごとの差が出ている。2026年に入ってからは、2025年の上昇局面で取得されたビットコインの日次売却量が最も多かった一方、今回の下落局面で取得されたビットコインの売却は限定的だった。直近の安値圏で参入した投資家ほど、短期的な手仕舞いより保有継続を選んでいるとみられる。
こうした動きは、相場の底値圏で発生する売り圧力が過去の弱気相場とは異なる可能性を示している。ただ、長期保有者全体が含み益を維持しているとしても、高値圏で積み上がった保有分の損失が解消されたわけではない。今後、ビットコイン価格が回復する過程で、こうした保有分がいつ市場に出てくるのかが注目される。