【マウイ(米国)】Qualcommは23日(現地時間)、米ハワイ州マウイで開催した「Snapdragon Summit 2026」で、PC向け「Snapdragon X2」シリーズのLinux向け早期開発者プレビューを公開した。Debianは年内、Ubuntuは2027年前半の認証取得を目指し、Linux対応を段階的に広げる。
Linuxは、WindowsとChromeOSに続くSnapdragon X2シリーズの対応OSとなる。Qualcommは、エージェンティックAIを開発する開発者やパートナーが、より幅広いPC環境でSnapdragonを活用できる体制を整える狙いだとしている。
同社によると、Linux対応はこれまで最も要望の多かった項目の一つだった。従来はカーネルレベルの限定的な対応にとどまっていたが、今回はSnapdragon X2シリーズを対象に、プラットフォームとしての支援を本格化する。Linux上でX2シリーズのAI性能を活用するには、NPUやGPUを扱うドライバーを先にカーネルへ取り込む必要がある。
まずupstream化を進めるのは、Hexagon NPUとAdreno GPUのドライバーだ。Hexagon NPUはfastRPCドライバーを通じて、オンデバイスAI推論に利用される。Adreno GPUは、オープンソースのMesaドライバーであるFreedreno、Turnip、Rusticlを通じて、グラフィックス処理と演算を担う。
ドライバーはLinuxメインラインカーネルへのupstream化で対応する。これは、ドライバーをLinux公式カーネルに取り込み、ディストリビューション管理者が追加パッチなしでカーネル更新に追随できるようにする手法だ。Qualcommは、カーネル外で個別管理するパッチは初期起動には有効でも、複数のカーネルバージョンにまたがって継続的に利用できる開発基盤としては、メインライン対応が重要だと説明している。対象にはNPUとGPUのほか、主要周辺機器、DSP、マルチメディア関連ハードウェアブロックも含まれる。
現時点で早期開発者プレビューの対象となるのは、Snapdragon X2シリーズ搭載ノートPCに限られる。デスクトップ型、従来のSnapdragon Xプラットフォーム、そのほかの開発ボードは対象外だ。対応状況は製品やメーカー設計によって異なる。これまでの検証は、Debian 13(Trixie)ベースのユーザー環境とカスタムカーネルで進めてきた。主な対象ユーザーは、ディストリビューション管理者、カーネル開発者、ハードウェア対応エンジニアとなる。一般ユーザー向けにそのまま使える環境は、upstream化の結果に対するフィードバックを経て、各ディストリビューション側で提供される見通しだ。
対応範囲は段階的に拡大する。初期段階では、ブート、USBやPCIeなどの主要I/O、グラフィックスとディスプレイ、NPUによるAIアクセラレーション、電力・熱管理を優先的に支援する。次の段階では、対応周辺機器とカーネル反映パッチの数を増やし、実運用ワークロードを開発できる水準まで安定性を高める方針だ。
対応ディストリビューションは、まずDebianとUbuntuから始める。多くのLinuxディストリビューションの基盤となるDebianは年内の対応開始を予定する。Ubuntuは開発元Canonicalと連携し、2027年前半のSnapdragon X2シリーズ認証取得を目指す。端末メーカーでは、HP、ASUS、Humainが2027年のLinux対応を計画している。
Humainはサミットで、X2 Eliteを搭載し、LinuxとWindowsベースのソフトウェアを並行して動作させるAI PC「Horizon Ultra」を公開した。Qualcommは、カーネル更新や認証取得、メーカー各社の商用化を支援するため、2026年11月以降もupstream化作業を継続する方針だ。