写真=Snapdragon Summit 2026で発表するQualcommのレカ・モティワラ氏

【マウイ(米国)】Qualcommは22日(現地時間)、年次イベント「Snapdragon Summit 2026」で、モバイルGPU向け新技術「Adreno Neural Fusion」を発表した。AI超解像やフレーム生成をグラフィックスパイプライン内で処理することで、消費電力を抑えつつ高画質化を図る。あわせてメモリ設計やパッケージの放熱設計も見直し、高負荷時の性能維持を強化する。

同技術の中核となるのが、新たに公開した「Adreno Matrix Core」だ。Qualcommのモバイルハンドセット担当シニアディレクター、レカ・モティワラ氏は、基調講演で「新しいAdreno GPUは電力効率が40%改善した」と説明した。

モバイルゲームではこれまで、コンソール級のグラフィックス、安定したフレームレート、長時間のバッテリー駆動を同時に実現するのは容易ではなかった。ゲーム処理がモバイル機器の中でも特に負荷の高い用途だからだ。モティワラ氏は「Adreno GPUにAI専用コアのAdreno Matrix Coreを新たに搭載した」と述べた。

Adreno Matrix Coreは、グラフィックスパイプライン内でAIモデルを直接実行する。ニューラルワークロードを処理するために、データをパイプライン外へ移さずに済むのが特徴だ。これにより、AI処理をNPUやCPUだけでなくGPU側でも担えるようにした。モティワラ氏は「新GPUの性能は44%向上した」としたうえで、「次のゲーム時代は、より賢いレンダリング、より高い効率、そしてAIが実現する豊かな体験によって定義される」と語った。

Qualcommは、このAdreno Matrix Coreを活用するレンダリング技術を「Adreno Neural Fusion」と名付けた。AI超解像、フレーム生成、ニューラルプロセッシングを単一のグラフィックスパイプラインに統合する。AI超解像は低解像度で描画した映像を高解像度化する技術で、フレーム生成は実際に描画したフレームの間をAIが補完する。

同社によると、レンダリング負荷と消費電力を抑えつつ、従来のモバイル向けアップスケーリングで見られたちらつきやゴースティングも低減した。Qualcommは、自社開発技術である点も強調した。

GPU周辺の設計も見直した。モティワラ氏は「第2世代のAdreno High Performance Memory(HPM)により、DDRメモリへのアクセスを減らした」と説明した。HPMは、レンダーターゲットやデプス/カラーバッファなどの中間データをチップ内に保持するグラフィックス向け作業領域だ。

あわせて、「Offset PoP(Package on Package)」と呼ぶ新たな熱設計も導入した。パッケージ内のメモリとシリコンの配置を見直し、プロセッサの熱を逃がしやすくした。Qualcommは、高負荷時のピーク性能維持時間を2倍以上に伸ばせるとしている。

Adreno Neural Fusionは、20本以上のゲームタイトルで対応する。Qualcommは、主要ゲームエンジンがサポートする初のモバイル向けAI超解像技術だと説明した。すでにUnityとUnreal Engineに統合されており、ゲームスタジオは個別機能を独自開発したり、エンジン側の実装を待ったりすることなく、画質と性能の改善効果を活用できるとしている。

Qualcommの上級副社長、クリス・パトリック氏は「モバイルゲーミングで重要なのは瞬間的な最高性能ではなく、高いフレームレートとグラフィックス品質を低消費電力で長時間維持することだ」と述べた。そのうえで、「コンソール級のライティングとグラフィックスを、妥協なくモバイルで実現することが新たな現実になる」と語った。

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