Salesforceのマーク・ベニオフCEOは、OpenAIに出資できなかった代わりに投資したAnthropicについて、将来的に数百億ドル規模の収益を生む可能性があるとの見方を示した。Anthropicとの関係は資本提携にとどまらず、すでに製品面での連携にも広がっているという。Business Insiderが22日(現地時間)に報じた。
ベニオフ氏はポッドキャストのインタビューで、当初はOpenAIへの投資を希望していたと明かした。「サム・アルトマンとは親しい間柄だった」としたうえで、当時は出資の意向を伝えていたものの、Microsoftとの関係を踏まえ、SalesforceはOpenAIに投資できなかったと説明した。
背景には、MicrosoftとOpenAIの強い資本・事業関係がある。MicrosoftはOpenAI株式の約27%を保有し、同社の技術を自社製品に活用する権利も持つ。さらに、Azure経由でOpenAIのモデルへのアクセスも提供している。Microsoftは企業向けソフトウェア市場でSalesforceの競合でもある。
ベニオフ氏は、こうした事情が投資先の選定に影響したと語った。Anthropicへの出資については、当初から有望企業を見抜いていたというより、OpenAIに出資できない状況のなかで選んだ先だったとの認識を示した。
もっとも、現在ではその判断の事業価値は大きく高まっているという。ベニオフ氏は、SalesforceとAnthropicの関係は単なる財務投資ではなく、密接な事業協力に発展していると強調した。SalesforceのSlackを含む新たなインターフェースは、AnthropicのAIモデル「Claude」を基盤に動作しているとしている。
こうした協力体制についてベニオフ氏は、「Anthropicとは非常に近い関係を築いている」と説明。「この投資で数十億ドルではなく、場合によっては数百億ドルを稼ぐことになるかもしれない」と述べた。出資比率は明らかにしていないが、事業連携の拡大と保有持ち分の価値上昇の両面を念頭に置いた発言とみられる。
Salesforceは現在、Anthropic株をどの程度保有しているかを公表していない。ただ、Anthropicが新規株式公開(IPO)に踏み切れば、Salesforceの保有株式には市場価値が付き、長期的には換金の道が開ける可能性がある。
Anthropicは上場の可能性をにらんだ準備を進めてきたが、具体的な時期はなお不透明だ。OpenAIについてもIPO観測はあるものの、サム・アルトマン氏は2026年中の上場を否定している。
生成AIを巡る投資競争は、単なる持ち分確保から、事業提携や製品統合を軸とした競争へと広がっている。SalesforceはOpenAIへの直接出資こそ実現しなかったが、Claudeを自社サービスに組み込み、Anthropicとの関係を戦略資産として育てている。今後はAnthropicの上場時期に加え、この協業を収益や製品競争力の向上にどこまで結び付けられるかが焦点となる。