金融委員会は22日、P2P金融の制度見直し案を公表した。中低信用層向けの中金利ローン供給を広げるため、優良P2P事業者の自己投資上限を引き上げるほか、金融会社による連携投資の枠も拡大する。あわせて、個人事業主向け融資に必要な信用評価インフラを整備し、投資家保護に向けた開示・管理体制も強化する。
金融委は同日、クォン・デヨン副委員長が主宰するP2P業界懇談会を開き、中低信用層向け資金供給の活性化策を示した。柱は、優良P2P事業者に対する投資規制の緩和、金融会社の連携投資拡大、個人事業主向け信用評価基盤の整備の3点だ。
P2P金融は、オンラインプラットフォームを通じて投資家と借り手をつなぐ仕組みで、既存の金融機関から資金調達しにくい中低信用層に対し、代替信用評価を活用した中金利ローンを供給する役割を担ってきた。もっとも、独自の信用評価モデルを持っていても、案件組成後に十分な投資資金を集められなければ融資実行は難しい。
こうした制約を補う手段として広がっているのが、金融会社の資金を活用する連携投資だ。金融当局は2024年7月、貯蓄銀行によるP2P連携投資を革新金融サービスとして認めて以降、参加事業者を増やしてきた。2026年7月末時点で、貯蓄銀行23行による連携投資額は5080億ウォンに達している。
一方で、P2P業界の貸出構成は依然として担保ローンに偏っている。2025年末時点では、不動産担保ローンが40.5%、株式担保ローン(ストックローン)が33.3%を占め、合計で7割を超えた。直近5年間の信用ローン比率は平均11.6%にとどまる。
このため金融当局は、担保ローン偏重を是正し、信用ローンの拡大を促す追加の制度見直しに乗り出す。投資規制を一律に緩和するのではなく、中低信用層向け融資の実績と信用評価能力を備えた優良事業者にインセンティブを与える仕組みとする。
具体的には、「中低信用層向け融資の優良P2P事業者」制度を新設する。選定された事業者については、自己資金による投資上限を募集額の20%から40%に引き上げる。金融会社の連携投資上限も40%から50%に拡大する。
連携投資の上限が引き上げられれば、これまで最低3社の金融会社の参加が必要だった案件でも、2社で募集額を満たせるようになる。P2P事業者の資金募集負担は軽くなる見込みだ。
金融委が示した優良事業者の選定基準案では、直近3年間に個人または個人事業主向け信用ローンの取扱実績があることに加え、中低信用層向け融資の比率が60%以上、または残高300億ウォン以上となった事業年度が過去に少なくとも1回あることなどを求める。さらに、代替信用評価モデルと開発人員の保有、個人向け信用ローンの平均金利15%以下、延滞率5%未満、自己資本10億ウォン以上といった要件も盛り込んだ。
金融当局によると、P2P事業者47社のうち、独自の個人信用評価モデルを持つのは7社で、全体の15%にとどまる。規制緩和を実際の貸し出し拡大につなげるには、各社の信用評価能力の底上げが欠かせない。
一般投資家に対する業界全体の投資上限も、4000万ウォンから5000万ウォンへ引き上げる。個人・個人事業主向け信用ローンへの少額分散投資も認め、個人投資家からの資金流入を促す考えだ。
今後の拡大分野として想定されるのが、個人事業主向け信用ローンだ。これまでP2P事業者は主に個人向けの信用評価モデルを開発してきたため、個人事業主向けの審査基盤は十分とはいえなかった。
実際、2025年末時点で連携融資全体に占める個人事業主向けの比率は2.9%にとどまる。個人事業主向け信用ローンを扱う事業者と、専用モデルを持つ事業者はいずれも5社にすぎない。
個人事業主向け融資を拡大するには、個人信用情報だけでなく、売上高や業種、商圏といった事業関連情報を反映して返済能力を見極める仕組みが必要になる。このため金融当局は、P2P事業者が小規模事業者向け信用評価モデル(SCB)を活用できるよう、システム連携を進める。
SCBは、小規模事業者の売上高、業種、商圏情報などの非金融情報を活用し、既存の信用等級に成長性評価を組み合わせる信用評価モデルだ。2026年8月末から試験運用を始めており、まずは主要P2P事業者とのシステム連携を優先し、その後段階的に広げる計画としている。
外部の信用評価インフラを活用できれば、個人事業主向けの専用モデルを持たない事業者でも、事業者の信用リスクを評価する手段を確保しやすくなる。金融会社の連携投資の対象も、従来の個人向け信用ローンから個人事業主向け信用ローンまで広げる。貯蓄銀行に加え、相互金融の参加拡大も進める方針だ。
今回の見直しは、個人事業主向け融資に必要な信用評価と資金調達の基盤を同時に整える内容といえる。ただ、実際の拡大規模は、P2P各社が新たな信用評価インフラをどこまで活用できるか、また金融会社の投資参加をどれだけ確保できるかに左右される。
もっとも、中低信用層や個人事業主向けの信用ローンが拡大すれば、融資の健全性確保と投資家の信頼維持がいっそう重要になる。P2Pは投資家資金を原資に融資を行うため、借り手の延滞や不良化はそのまま投資家の損失につながりやすい。
このため金融当局は、制度見直しとあわせて投資家保護策も強化する。主要な経営情報に対する外部検証を導入するほか、損失率の追加開示、不良債権管理体制の改善も進める。
現在、P2P事業者は年次の財務状況について外部監査を受けているが、連携融資債権は財務諸表に反映されず、監査対象から外れている。今後は、連携融資の運用状況や不良債権売却などの主要経営情報についても外部検証の対象とし、従来の延滞率に加えて損失率も開示する計画だ。
事業者ごとの審査能力や事後管理能力を投資家が判断できる情報を増やし、投資家保護と業界への信頼向上につなげる狙いがある。あわせて、経営不振のP2P事業者に対する廃業・整理手続きも見直し、営業中断後も投資家保護が機能するよう制度を補完する。
金融委は2027年1〜3月期に、優良P2P事業者制度の導入と金融会社の連携投資拡大に向けた革新金融サービス申請を受け付け、審査する予定だ。一般投資家の投資上限引き上げと個人事業主向け信用評価インフラの連携については、2027年3月の施行を目標に進める。
制度見直しが実施されれば、中低信用層への資金供給の拡大に加え、個人事業主向け融資の取扱基盤も広がる見通しだ。P2P業界関係者は「今回の制度見直しを歓迎する。中低信用層に安定的に資金を供給する本来の役割に、より忠実になれる」と話した。