Clarity法案は今月、米上院で審議が前進しなかった。写真=Shutterstock

米上院で暗号資産の市場構造を巡る「Clarity法案」の審議が進まず、関連銘柄に売りが広がった。Coinbase、Circle、Strategyの株価は採決を受けて5〜10%下落し、規制明確化への期待後退が相場の重荷となった。

ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、同法案は16日の上院で、本会議審議入りに必要な60票を確保できなかった。

この結果、年内成立の可能性は一段と低下した。11月3日の中間選挙を控えて上院日程が逼迫していることもあり、審議の先行きは不透明だ。市場では、米国の市場構造規制の影響を直接受ける暗号資産取引所への警戒感が強まった。

Saxo Bankのアナリスト、ルベン・ダルポボ氏は、法案停滞の影響を最も受けやすいのはCoinbaseだと指摘した。Coinbaseの取引事業は市場構造規制の影響を直接受けやすく、今後の制度設計次第で登録要件や取扱資産、プラットフォーム参加資格が左右される可能性があるという。

一方、Circleについては、USDCの採用動向と準備金の利息収益の影響が大きいと分析した。Strategyは、ビットコイン保有と資金調達環境への依存度が高いと位置付けた。

市場は直ちに反応した。採決を受けてCoinbase、Circle、Strategyの株価は5〜10%下落し、翌日も軟調な値動きが続いた。規制明確化を織り込んでいた関連銘柄に対し、改めて売り材料が意識された格好だ。

その一方で、伝統金融によるオンチェーン資産移転への期待は一部プロジェクトに向かった。Standard Charteredは、Arbitrumが2030年までにビットコインやイーサリアムを上回るパフォーマンスを示す可能性があるとの見通しを示した。

もっとも、この見通しは、トークン化資産市場が390億ドル規模に達し、2028年には4兆ドルへ拡大するとの前提に基づく。Arbitrumのレイヤー2インフラと収益配分モデルが追い風として挙げられる一方、実際の普及ペースはなお見通しにくいとしている。

企業の財務戦略では、Bitmineによるイーサリアムの買い増しが目立った。Bitmineは先週、2万7180ETHを追加購入し、総保有量が595万ETHになったと発表した。保有資産の価値は154億ドルに達する水準という。

このうち506万ETH超をステーキングに振り向けており、現在の利回りを前提とした年換算収益は3億3400万ドルと推計された。ビットコインを中核に据える財務戦略企業と比べ、イーサリアム保有企業はステーキングを通じて継続的な収益を確保できる点が違いとされた。

ビットコイン保有企業のStrategyは、2週連続でビットコインの追加購入を見送った。一方で、1億3930万ドルを投じ、優先株を活用した自社株買いを実施した。

セキュリティ面では、人工知能(AI)が暗号資産業界にもたらす負の影響が改めて取り沙汰された。Phemexの最高経営責任者(CEO)、フェデリコ・バリオラ氏は、AIは暗号資産業界にとってマイナスに働き、悪意ある主体を利する面があったと指摘した。

今週の暗号資産業界では、規制審議の停滞、トークン化インフラへの期待、ステーキング収益の拡大、セキュリティへの懸念が同時に浮上した。なかでもClarity法案の停滞は、取引所や関連上場企業の企業価値に直接影響し得る要因として改めて浮き彫りになった。

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