ドナルド・トランプ米大統領(写真=ホワイトハウス)

ドナルド・トランプ米大統領は、「AI Force」の新設とホワイトハウスのAI責任者の任命を進める考えを明らかにした。AIを米国の成長戦略の中核に据え、直接規制より産業育成を優先する姿勢を改めて打ち出した形だ。一方、議会ではAIの安全性確保に向けた法整備の動きも進んでいる。

米メディアのCryptopolitanなどが21日(現地時間)に報じた。トランプ氏はAIを米国経済の主要な成長分野と位置付け、規制よりも育成を重視する構想を示した。

トランプ氏は自身のTruth Socialへの投稿で、「AI Force」を第1次政権で創設した宇宙軍になぞらえて説明した。あわせて、新たなAI責任者を任命する方針も示した。

ホワイトハウスのAI責任者ポストは、ここ数カ月にわたって空席が続いている。トランプ氏は2024年12月、ベンチャー投資家のデビッド・サックス氏をホワイトハウスのAI・暗号資産担当に指名したが、サックス氏は2026年3月、自身の特別政府職としての任期が終了したと明らかにしていた。

トランプ氏は、ワシントンの役割は産業を後押しすることにあり、違法行為は既存の司法制度で対処すべきだとの立場も鮮明にした。AI産業については「いかなる形でも、この驚くべき産業の成長を妨げたり抑えつけたりしない」とし、「むしろ大切にし、支援し、成長を見守る」と投稿した。

不正行為への対応についても、「既存の刑事・民事司法制度で十分に対処できる」と主張した。

トランプ氏の発言の焦点は、AIを国家競争力の中心に据える点にある。同氏はAIを「次の産業革命、あるいはインターネット」に例え、それ以上の波及力を持つ可能性があるとの見方を示した。

また、米中競争を念頭に、AIが「米国の国内総生産(GDP)の最大25%を生み出し得る」とも述べた。アイルランドのドゥーンベッグ・ゴルフクラブでは、「AIで勝つ者が勝者になる」と語り、競争優位の重要性を強調した。

その一方で、AIのリスクを巡る米国内の議論は広がっている。トランプ氏は、脅威となる超知能への警告を虚構だとして退けたが、業界や政界の一部からは異論も出ている。

Anthropic出身の研究者ジェイコブ・コクソン氏は9月8日、AnthropicとOpenAIが自己改善型の超知能の開発を追い求め、人々の命を賭けた賭けに出ていると批判した。Anthropicの最高経営責任者(CEO)、ダリオ・アモデイ氏も、AIには現実的なリスクがあり、業界は技術リスクを巡って大衆をミスリードしてきたと述べている。

政権内の関連人事も、なお固まっていない。商務省傘下のAI標準・イノベーションセンターを率いていたクリス・ポール氏は、約3カ月後の7月に辞任した。

現在は、米国立標準技術研究所のトップであるアービンド・ラマン氏が同センターを暫定的に率いている。ホワイトハウスのAI責任者ポストも空席が続くなか、トランプ氏が予告した新たな人事が今後のAI政策の方向性を左右する可能性がある。

議会では、AIの安全性を担保するための立法も並行して進んでいる。エイミー・クロブシャー、テッド・クルーズ、ジョン・スーンの各上院議員は、先端AIを開発する企業に法的な注意義務を課す超党派法案を準備している。

法案には、政府が安全性に問題のあるモデルの公開を差し止められるようにする内容も盛り込まれた。マイク・ジョンソン下院議長は「一定のガードレールと安全措置が必要だ」と述べ、ハキーム・ジェフリーズ民主党院内総務は「議会は緊急に行動しなければならない」と訴えた。

米国のAI政策は今後、育成重視の行政府と、安全規制を求める議会の議論が並行して進む構図となりそうだ。トランプ氏がAIを戦略産業として改めて前面に押し出したことで、AI責任者の人選やAI Force構想の具体化、議会の規制立法の行方が主要な焦点となる。

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