ビットコインが8万6000ドル近辺まで反発する一方、マイニング収益の改善は限定的にとどまっている。採掘難易度の上昇分はおおむね吸収したものの、取引手数料収入の寄与は小さく、収益環境の力強い回復を示す状況には至っていない。
CryptoSlateが21日(現地時間)に報じたところによると、ビットコインは19日の難易度調整後、ハッシュレート当たりの理論収益が従来の採算ラインを約2.65%上回った。
今回の試算は、ビットコイン価格8万4751ドル、確定した難易度上昇率、足元のハッシュプライスを反映したもの。ハッシュプライスは1PH/s当たり40.31ドル/日と推計された。
ただ、この数値は実際の利益や各マイナーの収益を直接示すものではない。あくまでネットワーク全体の理論収益を示す指標だ。
15日時点のモデルでは、19日に予定されていた採掘難易度の上昇を吸収するには、ビットコイン価格が約8万2877ドルまで上昇する必要があると試算されていた。
実際には、19日にブロック高96万7680で採掘難易度が127兆4510億から132兆7570億へ4.1634%上昇した。足元のビットコイン価格は、このモデルが示した採算ラインを約2.26%上回っている。
価格上昇が難易度上昇幅を上回ったことで、マイニング採算には一定の改善余地が生じた。15日時点のモデル入力値と比べると、ビットコイン価格は約7.07%上昇し、難易度は約4.16%上昇した。この結果、難易度に対する価格比率は約2.79%改善した。
直近の平均手数料の低下分を織り込んでも、単位ハッシュレート当たりの想定収益を示す理論上のハッシュプライスは、従来の基準を約2.65%上回った。
一方、取引手数料収入はマイニング収益の下支えにはほとんどならなかった。ブロック96万7828から96万7971までの144ブロックで発生した手数料は合計2.04858206BTC、1ブロック当たり平均は0.01422626BTCだった。
総報酬452BTCに占める手数料の比率は約0.45%にとどまった。マイニング収益が依然としてブロック補助金とビットコイン価格に大きく依存していることを示している。
市場の関心は、次回の採掘難易度調整に移っている。現時点の推計では約2.48%の低下が見込まれるが、難易度調整サイクルの進捗は14.43%にとどまり、まだサンプル数の少ない段階の暫定値にすぎない。
平均ブロック生成時間は625.3秒で、目標の10分より約25秒長かった。このペースが続けば、次回の調整は10月3日前後になる見通しだ。
もっとも、これを直ちにマイニングマシンの停止やハッシュレート離脱の兆候とみるのは早計だ。ブロック生成には確率的なぶれが大きく、短期の観測だけでネットワークの実際の計算能力の変化を断定することはできない。
現在の推計値も、初期段階のブロック生成速度をもとに算出したものであり、稼働中の採掘機台数を直接集計した結果ではない。
直近1カ月の推計ハッシュレートは約826.1EH/sから1.053ZH/sの範囲で推移し、足元では約937.5EH/sとされる。この範囲では、ネットワーク全体で持続的かつ明確な崩れが起きているとは確認されていない。
個別事業者ベースで変化が出ている可能性はあるものの、広範な稼働停止を示す材料とまでは言えないという。
今後のマイニング環境を左右する主な変数は3つある。ビットコイン価格が従来モデルの採算ラインを継続的に上回るか、取引手数料が補助金以外の追加収益源として拡大するか、そして初期段階にある難易度低下見通しがブロックサンプルの増加後も維持されるかだ。
ブロック生成の遅れが続けば、難易度低下シグナルの信頼性は高まる。一方で、生成ペースが再び速まれば、現在の推計値は縮小、あるいは反転する可能性がある。
マイニング収益性は、事業者ごとのコスト構造によっても大きく左右される。設備効率や電力契約、資金調達、人件費が各社で異なるため、同じネットワーク収益水準でも収支は一様にならない。
現時点では、ビットコイン相場の反発によって確定済みの難易度上昇分は理論上おおむね吸収された。ただ、取引手数料は低水準にとどまり、次回難易度調整の低下見通しもまだ初期データに基づく段階だ。マイニング収益の改善が持続するかどうかは、なお見極めが必要となる。