AppleとGoogleが、ステーブルコインやトークン化預金、ブロックチェーン分野の知見を持つ人材の採用を進めている。Appleは決済関連の戦略人材、GoogleはGoogle CloudのWeb3領域を担う上級職をそれぞれ募集しており、決済とブロックチェーン基盤の両面で専門性を強化する動きとみられる。
ブロックチェーンメディアのDecryptoが21日(現地時間)に報じた。両社の求人情報では、ステーブルコイン、トークン化預金、ブロックチェーン技術に関する理解や実務経験が、必須または歓迎要件として挙げられている。ただ、今回の募集だけで新たなステーブルコイン関連商品やサービスの投入を示すものではない。
Appleはニューヨークで、Apple Payの製品戦略を担う人材を募集している。対象となる職務は、Apple CardやApple Cashを含むコンシューマー向け金融サービスについて、商品企画や事業モデル、提携戦略、成長機会の検討を担うものだ。
歓迎要件としては、ステーブルコイン、トークン化預金、ブロックチェーン技術への理解を明記した。個人間送金やクレジットカード分野での経験に加え、米国外の決済システムに関する知見も求めている。一方、求人票にはApple Pay、Apple Cash、Apple Cardへのステーブルコインやブロックチェーン技術の導入計画は示されていない。
Googleは香港で、Google CloudのWeb3業界向けシニアアーキテクトを募集している。職務内容には、アジア太平洋地域のブロックチェーン財団、機関投資家向け取引所、デジタル資産カストディ事業者、現実資産(RWA)のトークン化を進める金融機関、分散型アプリケーション開発企業などへの技術支援が含まれる。
Googleはこの職務について、業界共通の技術課題を把握し、再利用可能なリファレンスアーキテクチャを構築する役割だと説明している。あわせて、GoogleのWeb3製品ロードマップの策定にも関与する可能性があるとしている。応募者には、ステーブルコインの決済基盤、トークン化預金、カストディシステム、ブロックチェーンのバリデーター、ゼロ知識システム、スマートコントラクトなどの経験を求める。香港金融管理局や証券先物委員会に対応した、セキュリティとコンプライアンスの知識も要件に含めた。
Googleはすでにブロックチェーンインフラ事業を展開している。Google CloudのUniversal Ledgerは、金融機関などが分散型台帳ネットワークを活用して決済サービスを構築し、資産のトークン化を進めるのを支援するサービスだ。Googleは、卸売決済やトークン化資産の発行、管理、決済などへの活用を想定している。
またGoogleは、ステーブルコインプロジェクト「Open USD」の参画企業にも名を連ねる。Open USDにはVisa、Mastercard、Stripe、Coinbase、BlackRock、Shopifyなど140社超が参加しており、ドル建てステーブルコインをグローバル決済インフラとして活用することを目標に掲げている。
決済業界では、ステーブルコイン活用の裾野も広がっている。Visaは9月、ステーブルコインの決済処理額が年換算で200億ドル(約3兆円)を超えたと公表した。世界では160件超のステーブルコイン連動カードプログラムが運用されており、その決済規模は前年同期比で約200%増加したという。
AppleとGoogleの今回の採用は、こうした流れを映す動きといえそうだ。ただ、現時点で公開されている求人情報だけから、両社が独自のステーブルコインを発行したり、特定のステーブルコインサービスを導入したりすると判断するのは難しい。Appleは決済商品の戦略領域、GoogleはクラウドとWeb3インフラ領域で、それぞれステーブルコインとトークン化技術の専門性確保を進めている。