写真=PrivateAIのチュ・ボムス専務

PrivateAIは、ゼロトラストセキュリティで培った技術を基盤に、AIガバナンスおよびAI実行制御分野へ事業領域を広げる。金融機関と公共機関を当面の重点市場と位置付け、2027年にはAI関連売上高の構成比を50%超に引き上げる考えだ。

同社は、ゼロトラストセキュリティ事業を展開してきたPrivate Technologyを再編し、社名をPrivateAIに変更した。狙いは、ゼロトラストを中核としつつ、事業領域をAI運用プラットフォームへ広げることにある。AIブームに乗った単純なブランド変更ではなく、既存技術の延長線上にある事業拡張だと説明している。

チュ・ボムス専務は最近のインタビューで、「当社の中核技術はAIガバナンスと親和性が高く、自然な流れでAI領域に拡張した」と述べた。その上で、「AIガバナンスは構想段階ではなく、すでに製品として具体化している。来年はAI売上比率を半分以上に高めるのが目標だ」と語った。

同社は2018年の設立以来、「決して信頼せず、常に検証する」というゼロトラストの原則に基づき、ZTNA(Zero Trust Network Access)技術の開発に注力してきた。ネットワークアクセス制御で培った技術は、セキュリティ分野にとどまらず、AIガバナンスや制御にも応用できるという。

同社によると、AI分野への参入後、短期間で関連製品を投入できたのも、ゼロから開発したのではなく、既存のZTNA技術をベースに機能を拡張したためだという。

チュ専務は、「権限管理、監視、アクセス制御、実行制御はAIガバナンスの重要な構成要素だ」と説明する。企業がAIを活用するには、内部データを保護しながらファインチューニングを進める必要があるほか、外部モデルへのルーティング管理も求められる。こうした仕組みによって、データ保護とコスト管理の両立が可能になるとしている。

PrivateAIは、AIガバナンス・制御プラットフォームを大きく2つの領域で設計している。1つは「検知」だ。資産の識別、等級分類、データ移動経路の把握、脅威分析などを担う。

もう1つは「制御」で、パケットの通過可否やAIエージェントの実行可否を判断し、必要に応じて制限をかける機能を指す。

チュ専務は、「人であれAIエージェントであれ、アクセス権限管理に関するノウハウはすでに蓄積していた。それをAI環境向けに最適化する形で方向転換した」と話す。AIエージェントが各種ツールを呼び出し、RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)と連携し、エージェント同士が通信する過程で、機密性が維持されているかを制御・管理することに力を入れているという。

さらに、「ネットワークやセッションが動く実行レイヤーでAIを直接制御できる点が当社の強みだ。キルスイッチ機能も提供している」と述べた。

同社は、金融機関と公共機関をAIガバナンス・制御プラットフォームの主要ターゲットと位置付ける。特に公共分野では、ネットワーク分離規制の緩和を柱とする国家ネットワークセキュリティ体系(N2SF)の施行が追い風になるとみている。

N2SFの導入により、公共機関のセキュリティ環境は、従来の一律的なネットワーク分離構造から見直しが進んでいる。情報の重要度をC(Classified)、S(Sensitive)、O(Open)に区分し、このうちO等級の情報はインターネット上で公開できるようにするのが制度の骨子だ。

チュ専務は、N2SFの導入によって公共機関による外部AIサービス活用のハードルが下がり、AIガバナンス関連市場も広がるとみる。「現在、複数の公共機関と概念実証(PoC)を進めている」と明らかにした。

同社は今後、AI実行制御ソリューションをプラットフォーム化し、SaaSとして提供する構想も持つ。これを通じて海外市場の開拓も進める方針だ。

チュ専務は、「ネットワーク分離規制の緩和によって、サービス型への移行を進めやすい環境が整ってきた。監視機能や実行制御ソリューションなどをプラットフォームに組み込む考えだ」と説明した。

AIガバナンス市場では、エンタープライズソフト大手やセキュリティ大手に加え、メガクラウド各社も参入しており、競争は激しさを増している。こうした中、同社は単独での拡大ではなく、協業を通じた事業拡大を目指す。

チュ専務は、「すべてを自社だけで担うのではなく、AXを推進する企業と連携し、AXプロジェクトの中でガバナンス領域を担いながら事業基盤を広げていく」と述べた。

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