AIエージェントが暗号資産インフラの実需を担う可能性があるとする見方が示された。写真=Kalshi

暗号資産業界がこの15年で整備してきた融資、トークン化、ステーブルコインなどのインフラについて、今後は人間よりもAIエージェントが積極的な利用者になる可能性があるとの見方が出ている。AIエージェントが24時間体制で決済や資産移転、清算を自動実行し、暗号資産市場の新たな需要源になるという見立てだ。

ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが21日(現地時間)に報じたところによると、ジョルディ・ビサー氏は暗号資産インフラの次の段階として「Ghost Rails」構想を提示した。暗号資産エコシステムに必要な基盤は相当程度整った一方、それを大規模に使う主体がなお不足しており、その担い手としてAIエージェントを位置付けた。

ビサー氏は、これまでの暗号資産は実際の利用拡大を待つ段階にあったとみる。個人ウォレットや投資家中心の利用だけでは大きな転換点をつくりにくいが、自律的に動くソフトウェア主体であるAIエージェントが市場に参加すれば、状況は変わり得るという。

同氏はこの構図を、インターネット初期の成長過程になぞらえた。Netscapeの上場後、アプリストアの登場を経てインターネットが大衆的なプラットフォームとして定着するまで約14年を要したように、暗号資産でもインフラ整備と本格普及の間には時間差があったと指摘。そのギャップを埋める存在としてAIエージェントを挙げた。

AIエージェントは人間と異なり、24時間止まることなく稼働できる。決済、資産移転、取引、清算といった処理を自動で実行できるため、こうした特性が暗号資産のオープンな金融インフラと結び付けば、新たな経済活動を生み出す可能性があるとしている。

Bitcoinについても強気の見方を示した。AIエージェントの普及は暗号資産市場の転機となり得て、それはBitcoinにとって「極めてポジティブ」だと述べた。エージェント経済が拡大するほど、既存の金融インフラよりもオープンなデジタル資産ネットワークの利用が広がり、長期にわたり存続し得る資産に需要が集まりやすくなるというのがその論拠だ。

なかでもBitcoinについては、長期的に存続し得る資産として言及し、エージェント経済の拡大に伴って中長期の需要が増える余地があるとした。

トークン化も変化の中核要素に挙げた。ビサー氏は、トークン化技術によって約900兆ドル規模の非流動資産を、より移転・取引しやすい形に転換できると主張した。伝統的な資産がブロックチェーン上で取引や担保、決済などに活用されれば、暗号資産インフラの役割は投資手段にとどまらず、金融基盤そのものへと広がる可能性があるという。

AIエージェントが、こうしたトークン化資産やステーブルコイン、融資システムを実際に使い始めれば、市場の需要構造も変わる可能性がある。これまで暗号資産市場が個人投資家と流動性を中心に動いてきたとすれば、今後は自動化された機械ベースの利用者が新たな需要層として定着し得るとの分析だ。

ビサー氏は、既存の金融市場に起こり得る変化にも言及した。上位10%の資金が本格的にBitcoinを買い始める前に、既存資産市場にどのような変化が現れるのかを問いかけ、金融市場への信認の変化が将来のBitcoin需要につながる可能性を示した。Bitcoinの需要が長期にわたって形成される可能性にも触れている。

また、AIの普及に伴うマクロ経済の変化もBitcoinの見通しと結び付けた。米国の債務負担と名目成長の関係、データセンター建設に向けた負債調達、債券市場が不安定化する可能性などをあわせて取り上げた。AI投資の拡大は生産性や成長期待を押し上げる一方、既存金融市場には新たな負荷となり得るとの見方だ。

技術の完成度そのものよりも、市場がどの未来を先に信じて受け入れるかが重要だとも強調した。いわゆる「サンタクロース効果」に触れ、イノベーションが完成した時点ではなく、市場参加者が将来の変化をどれだけ早く織り込むかによって資金フローは変わり得るとした。

さらに、複数のAIエージェントが群れのように24時間稼働する未来にも言及し、投資家はこうした指数関数的な変化を過小評価していると指摘した。

ビサー氏が投げかけた論点は、暗号資産インフラがどこまで整ったかではなく、「誰がそのインフラを実際に使うのか」という点にある。融資、ステーブルコイン、トークン化といった基盤がすでに整うなかで、AIエージェントが新たな実利用者として定着すれば、暗号資産市場の成長のかたちそのものが変わる可能性があるという主張だ。

今後の焦点は、AIエージェントが実際の取引、決済、資産管理の現場で暗号資産インフラをどれだけ速く取り込むかにある。これが現実となれば、Bitcoinを巡る市場の論理も、単なる流動性や投資需要の話にとどまらず、AI時代の金融インフラと実需という視点へ広がる可能性がある。

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