ドナルド・トランプ米大統領は、AI政策を担う「AI専任チーム」を新設し、責任者を近く公表する考えを示した。新たな規制は設けない方針で、組織の位置付けや発足時期、権限などの詳細は明らかにしていない。
CointelegraphやNewsweekなどによると、トランプ氏は19日、自身のSNS「Truth Social」への投稿で、急拡大するAI分野を統括する体制を整える一方、イノベーションを阻害しかねない追加規制は導入しない考えを示した。
投稿では、第1次政権で創設したSpace Forceを引き合いに出しながら、「AI専任チーム」を設けると表明した。あわせて、AI責任者を近く発表するとし、「IQが高い人だけ応募するように」とも書き込んだ。
もっとも、このAI専任チームがどのような組織になるのかは不明だ。軍組織なのか、民間主体の組織なのか、あるいは独立機関に当たるのかは示されていない。具体的な役割や発足時期も未公表で、報道によればホワイトハウスも関連する問い合わせに回答していない。
今回の発言は、AIの急速な普及に対する懸念が広がる中で出た。足元では、主要AI企業や業界関係者の間で、開発スピードと安全性のバランスを巡る議論が活発化している。Anthropicの最高経営責任者(CEO)、ダリオ・アモデイ氏は12日、AI開発の速度を調整するための3段階の提案を公表し、制御策のないまま開発が進めば「このシステムを理解し制御する能力を追い越しかねない」と警鐘を鳴らした。
業界内の見方は分かれている。OpenAIのCEO、サム・アルトマン氏とイーロン・マスク氏がアモデイ氏の提案を支持する姿勢を示した一方、NVIDIAのCEO、ジェンスン・フアン氏はそうした規制は不要との考えを示した。AIの安全性をどう確保しつつ成長を促すかを巡り、立場の違いが改めて浮き彫りになった。
トランプ氏の構想は、規制強化よりも新たな管理体制の整備に軸足を置く点に特徴がある。追加規制は導入しないと大統領自ら打ち出したことで、今後の米国のAI政策が、事前規制の強化ではなく、専任組織と責任者を軸とする方向に傾く可能性もある。
ただ、現時点で確認できるのは構想段階の発言にとどまる。組織の法的位置付けや権限、既存の政府機関との関係、民間企業に対する監督範囲は示されておらず、実際の政策として具体化するかどうかは今後の発表が焦点となる。