Binance(写真=Shutterstock)

暗号資産取引所のBinanceは、米国上場ETF11本を組み込んだ資産運用サービスの提供を始めた。短期米国債と投資適格社債を中心とする商品構成で、暗号資産以外の金融商品を同じプラットフォーム上で扱う動きを強める。

Cointelegraphによると、新サービスは「Binance Earn」で提供する。対象となるETFは、短期米国債ETFと投資適格社債ETFが中心だ。

商品は投資期間に応じて、「キャッシュ管理」「安定収益」「収益強化」の3区分で展開する。想定する期間は6カ月未満から1年超までとした。

ユーザーはBinance Earn上でETFを検索し、注文できる。実際の注文執行はBinanceの株式取引サービスを通じて行われ、投資家はETF保有に伴う値動きやキャッシュ分配による利益を受け取る仕組みだ。

Binanceは、今回のサービスがトークン化株式とは異なる枠組みだと説明している。ユーザーが取得するのはトークンではなく、実際のETF持ち分だ。

役割分担は、Binanceが取引画面と利用導線を提供し、Nest Tradingが注文をAlpaca Securitiesに送る形となる。Alpaca Securitiesは注文執行と証券保管を担う。

これによりBinanceのユーザーは、暗号資産の取引に使ってきたのと同じプラットフォームから、従来型の証券商品にもアクセスできる。一方で、基礎資産は既存の証券インフラ上で管理される。

つまり、利用体験はBinance上で一元化しつつ、執行と保管は既存の金融システムを活用する構図だ。

今回の投入は、Binanceが進める伝統金融分野の拡大策の一環とみられる。Binanceは今月初め、1000超の米国株とETFを原資産とする現物決済型オプションも追加した。

同社はこれまでに、7000超の株式・ETF関連商品を提供しているとしている。

市場では、暗号資産取引所がデジタル資産以外の商品ラインアップを広げる流れの一例と受け止められている。とりわけ、短期米国債と投資適格社債を軸に据えた今回の構成は、価格変動の大きい暗号資産とは異なる性格の資産を、同じ口座導線で提供する狙いがあるとみられる。

商品を「キャッシュ管理」「安定収益」「収益強化」に分けた点も、こうした需要を意識した設計といえそうだ。

ETF市場では、トークン化とアクセス性向上を巡る議論も続いている。PricewaterhouseCoopersが昨年実施した調査では、回答者の8割超が、今後3年以内にトークン化がETF市場のグローバルな到達範囲と24時間アクセス性を高めると見込んだ。

ただ、Binanceは今回、トークン化ではなく実際のETF持ち分を取得する仕組みを採用した。

今後の焦点は、Binanceが伝統金融商品の対象をどこまで広げるかにある。暗号資産取引所が既存の証券インフラと接続し、米国上場ETFや株式、オプションまでを単一のプラットフォームで扱う流れが続けば、顧客獲得や商品競争の構図にも影響を及ぼす可能性がある。

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