OpenAIの最新モデル「GPT-6 Astra」を使い、先送りしていた各種Web作業をどこまで任せられるかを検証した。個人情報流出に伴う補償申請や会員退会、最安値の検索と購入、秋夕連休の列車予約などを試したところ、ログイン認証やマクロ対策が障壁になる場面が目立った。一方で、国会日程の集約やGIF作成、CMSへの画像登録では高い有効性を確認できた。
Astraは、PCやブラウザ、業務ソフトを横断しながら複数段階の作業を実行するよう設計されたモデルだ。OpenAIは、PC操作やWeb探索の能力が従来モデルから大きく向上したとしている。
Astraはコンピュータ操作ツールを通じてWeb画面を読み取り、マウス操作や文字入力を実行する。画面の変化を確認しながら次の工程へ進む仕組みだという。
今回の評価軸は「どれだけ手間を減らせるか」とした。各作業を10点満点で採点した。
最初に試したのは、オンライン動画サービス「Tving」の個人情報流出に伴う補償申請だ。補償対象であることはSMSで把握していたが、ログインの手間から後回しにしていた。
この作業の評価は8点だった。Astraは自らTvingのサイトを見つけて補償申請ページに進み、受け取れる補償内容や申請条件も要約した。本人確認や補償項目の選択など、人の判断が必要な工程も順序立てて案内した。
課題はログインだった。正確には、記者自身がIDとパスワードの両方を失念していた。外部アカウントでログインしていたはずだが、GoogleアカウントかCJ ONEアカウントかも判然としなかった。
Astraに手間だと伝えると、パスワード再設定ページまでは案内した。ただ、携帯電話での本人認証や新しいパスワードの入力まで任せることにはためらいがあった。パスワードを渡す段階で、利便性よりもセキュリティ面の懸念が上回ると判断したためだ。
最終的には自分でパスワードを再設定し、その後の補償申請をAstraに引き継いだ。Astraは補償項目を確認し、判断が必要な部分だけを質問した。どのクーポンを選ぶか、無料のフィッシング安全保険に加入するかなどを確認し、CGVコンボ5000ウォン割引クーポンと保険を選択した。
残る手続きはAstraが完了した。自動ログイン状態であれば、ほぼ手を動かさずに済む可能性があると感じた。
次に試したのは、美容医療プラットフォーム「Gangnam Unni」の退会手続きだ。最近、個人情報流出が発生しており、機微情報を多く扱うアプリでもあるため、情報を完全に削除したかった。
ここでも最初の壁はログインだった。KakaoTalk経由で登録したことは覚えていたが、ログイン過程で個人情報の追加提供への同意画面が表示された。退会のためにアクセスしたにもかかわらず、先に追加提供を求められる点に煩雑さを感じた。
ログイン後も、Webからは退会完了まで進めなかった。Astraが「一部機能はモバイルアプリで確認せよ」という案内を見つけ、最終的にはスマートフォンを使って自分で退会した。評価は3点とした。
オンラインショッピングの再検証も行った。数カ月前には「OpenClaud」に「Claude Sonnet」を接続して試したが、その際はCoupangでミネラルウォーターを注文しようとして失敗した。商品ページの情報量が多く、一度に読み切れないことに加え、分当たりのトークン制限にもかかり、ページ遷移のたびに待ち時間が発生していたためだ。
今回は、定期的に購入している「Seoulmilk Protein Energy Choco 240ミリリットル 18個入り」を対象に、CoupangやNaver Shoppingなどサイトを問わず最安値を探して購入するようAstraに指示した。
Naver Shoppingでは、Naver側のクローズドな運用方針のためか、マクロ対策的なアクセスが許容されなかった。Astraが商品を検索した直後にCAPTCHAが表示された。
CAPTCHAを人が解けば続行できるのではないかと確認したが、Astraは対応できないとした。回避策を探ることも考えられるものの、そこまで調べるなら自分で操作した方が手間は少ないと判断した。
CAPTCHAを解除した後、Astraは複数の販売先を行き来しながら同一商品の比較を進めた。検索結果では安価に見える商品について、実際には品切れではないか、18個入りのオプション選択で価格が変わらないかも確認した。送料を含めた実支払額で比較した点も悪くなかった。
ただ、最終的な価格には不満が残った。Astraが見つけた商品は2万6900ウォンで、送料6900ウォンを含めると合計3万3800ウォンだった。記者は2日前にSSG.COMで週末クーポンを適用し、2万3000ウォン台で購入していたため、この条件では購入に至らなかった。
その後もAstraに再検索を指示したが、条件内で複数の販売先を比較し、最安値を探そうとした点は評価できるとして、5点とした。
次に試したのは、秋夕連休の列車予約だ。9月23日に蔚山へ向かう切符が必要で、時間帯は問わず、SRTでもKTXでもよいという条件を与えた。
AstraはまずKorailのWebサイトを開き、出発地、到着地、日付を設定した。しかし照会ボタンを押した直後、「マクロ、開発者ツールなど未許可ツール使用時は利用が制限される可能性があります」という案内とエラーコードが表示され、空席照会画面に進むことすらできなかった。
このケースも、回避策を探るより自分で操作した方が早いと判断し、そこで検証を打ち切った。評価は2点だった。
一方、満足度が高かった作業もある。代表例が国会セミナーの日程確認だ。対象サイトのUIはカレンダー形式で、週ごとの行事を把握するには設定を何度も切り替える必要がある。詳細情報もポスターを1件ずつ開いて確認しなければならない。
API連携など別の手段も考えられたが、今回はあくまで「手間の最小化」を重視し、Astra単体での作業に絞って試した。
この作業の評価は10点だった。Astraは記者がこれまで手作業で行っていたのとほぼ同じワークフローで情報を集約した。国会サイトに掲載された週間行事72件と、「開かれた国会情報」のセミナー日程69件を突き合わせ、両リストの差分も洗い出した。
イベント名、主催、場所、日時を表形式で整理する工程では、人手以上に効率的だと感じた。関心のある行事についてはポスターを開き、詳細情報も確認した。手作業であれば、日付別リストと個別ページを何度も往復する必要があった。
もっとも、純粋な作業速度だけを比べれば、熟練した人手の方が速い場面もあるという印象だった。
GIF形式の記事サムネイル作成でも、Astraは有効だった。これは過去に別のルポ記事で何度か失敗して以来、手を付けていなかった作業だ。今回は、Astraがブラウザを操作する様子自体を動く画像として残したかった。
画面録画にはWindows標準のキャプチャーツールを使った。録画開始まで任せられるかも試したが、Astraはインストール済みのキャプチャーツールを見つけたものの、「現在のブラウザアドレスを確実に確認できない」という安全チェックが作動し、制御が中断された。録画の開始と終了は自分でクリックした。
保存先が分からなかったため、Astraにファイルを探させた。サムネイルには、AstraがOpenAIのWebサイトでAstraのプロモーション用モーショングラフィックを確認する場面と、社内の記事作成画面を行き来する場面を収めた。
その後、チャット欄や不要な画面端をトリミングし、長い区間を早回しにする調整も行った。完成版は約10秒で、評価は9点とした。録画の開始と終了こそ手作業だったが、ファイル探索から切り出し、GIF化までの大半はAstraに任せられた。
意外な成果だったのは、記事を書き終えた後のサムネイル画像のCMS登録作業だ。
体験記事で特に手間がかかるのが写真のアップロードだ。記事内容に合う画像を探し、トリミング位置を決め、ファイル形式を整え、キャプションを付けて登録しなければならない。簡単に済ませたくなる工程だが、写真も記事の一部という意識から、キャプション作成にも手間をかけてきたという。
この作業をAstraに任せたところ、社内サイトへのログイン後、記事作成画面に入り、タイトルと代表画像の登録、下書き保存まで進めた。
セクションは「AI & Enterprise」、タイトルは「(仮)Astra体験記」に設定するよう指示した。サムネイルを代表画像に指定し、「写真=ChatGPTのキャプチャー」というキャプションも付けた。
途中、WebP形式の画像がコンテンツ管理システムに登録できず、記者がPNGに変換して再アップロードした。ただ、エラー発生時にその都度操作を人へ戻すのではなく、形式変更後の作業を継続できた点は、「手間の削減」という目的に合っていた。
記事プレビューではGIFが正しく再生されることも確認できた。この作業は満点評価とした。