写真=LG U+は江南駅の「U+日常非日常のTeum」を、アートと技術、来場者参加を組み合わせた空間へ刷新した

LG U+は9月16日、ソウル・江南駅の複合文化施設「U+日常非日常のTeum」を、アートを軸にした新拠点「Art Garage」として刷新した。展示作品のAI解説や、鑑賞後に来場者の好みを分析するレポート機能を導入し、作品鑑賞とデジタル体験を組み合わせた空間として再構成した。

同社は、単に作品を展示する場ではなく、来場者の関心を可視化し、その反応を作家の創作や成長につなげるアートプラットフォームとして運営する方針だ。若手作家の発掘・育成も柱に据える。

9月16日に公開した施設では、1階にLG U+社員が寄付した廃携帯電話439台を使った大型インスタレーションを設置した。使用済みの通信機器を作品として再構成し、「技術と芸術の接続」という新空間の方向性を打ち出す。

今回のリニューアルのコンセプトは「Art Garage」。小さなガレージから生まれたアイデアが新たな産業や文化を育ててきたように、まだ広く知られていない若手作家が実験し、観客とともに成長できる場にする狙いを込めた。

LG U+でマーケティングコミュニケーションを担当するキム・ダリム氏は記者懇談会で、「若手アーティストが挑戦できる場への需要と、文化芸術を求める若年層のニーズがともに高まっている」と説明した。その上で、「韓国のアートシーンも小さなガレージのような場から成長できるという考えで、Art Garageというコンセプトを定めた」と述べた。

同施設は2020年に開館した。これまでの期間で85ブランドと協業し、累計来場者数は190万人に達した。来場者の7割超は、LG U+以外の通信会社を利用する顧客だったという。

一方で、消費トレンドは変化している。LG U+がオンライン上のソーシャルデータを分析したところ、美術館やギャラリーなど文化芸術空間への関心が高まっていた。とりわけ若年層では、美術を「直接体験するコンテンツ」として受け止める傾向が強まっていたという。

こうした方向性は、同社が掲げる「Simply. U+」の考え方にもつながる。複雑な技術を前面に出すのではなく、顧客の選択や体験をシンプルにし、アートとの接点をより身近にする考えだ。

LG U+のチャン・ジュニョン マーケティンググループ長は、「AI時代だからこそ、人間らしさや人間的な体験が重要になる」と述べた。「デジタルで作品情報に触れることと、実際の空間で作品に向き合い、その物語に深みを感じることは別の体験だ」と語った。

江南駅を拠点に選んだ背景にも、この発想がある。西村や北村、聖水洞が文化芸術の街として想起されやすい一方、同社は人流の多い商圏の中心でアートに出会う体験に重きを置いた。

鑑賞導線も一般的なギャラリーとは異なる。来場者は2階の受付で準備を済ませた後、6階に上がって本格的に作品を鑑賞する。2階のキオスクで鑑賞スタイルを入力すると、QRコード付きの「AI Art Mate」カードが渡される。

来場者がこのQRコードをスマートフォンで読み取ると、各展示作品のAI解説を利用できる。さらに、作品前のスキャナーでコードを認識させると、鑑賞後に閲覧した作品を基にAIが好みを分析したレポートが提供される。

再開館後の初回展示は「CIRCLE OF GROWTH」。国際舞台で活動するエリック・オー氏をはじめ、ナム・ミンオ氏、サンヒ氏、キム・ドウン氏の計4人が参加する。エリック・オー氏の代表作「OPERA」に加え、生成画像、データ、VR、ゲーム技術などを活用したメディアアートやインタラクティブ作品を展示する。

エリック・オー氏は、「U+が通信会社として人と人をつないできたように、私も人生が循環し前に進む過程について考えてきた」と語った。その上で、「ここを訪れる多くの人に、作品を通じて癒やしを感じてほしい」と述べた。

1階には、より気軽に楽しめる体験型コンテンツも用意した。新進作家の制作プロセスをAIペルソナで見せる「Artist Studio」や、観客の動きに反応する「Into the Stars」などを配置する。

YouTubeと協業した「Shorts Runway」は、1階の目玉企画の1つだ。ハイアングルカメラやムービングレールカメラ、グラムボットで撮影し、AI編集を経たYouTube Shortsを作成する。完成したショート動画はスマートフォンにそのままダウンロードできる。

LG U+は今後、作家や作品の特性に応じて空間コンセプトを継続的に変えていく方針だ。キム氏は、「新進アーティストの成長には、特定の展示トーンに合わせるよりも柔軟な構造が必要だ」とした上で、「作品と作家に応じて可変的に展示できるよう構成した」と説明した。

運営指標も多角化する。チャン氏は、「空間そのものの魅力を高め、顧客が自発的に訪れるようにすることが重要だ」と述べ、「単純な来場者数だけでなく、満足度や没入度、推奨意向といった指標を継続的に見ていく」と話した。

若手作家の育成も運営方針の柱に据える。LG U+は2027年1〜3月、新進クリエイター育成オーディション「T.A.G(Teum Artist Group)」を実施する。ポートフォリオや展示ミッションなどを通じて作家を選抜し、同施設での展示機会、専門家によるメンタリング、作品・グッズ販売、企業・機関との協業機会などを提供する。

来場者が展示を通じて示した関心や反応を作家に還元し、アートショップやアートマーケットでの作品・グッズ購入へつなげ、それを新たな創作へ循環させる仕組みを構築する考えだ。

チャン氏は、「通信会社は本質的に『つなぐ』事業者だ」と述べた。その上で、「人と人をつなぐことにとどまらず、アートと人をつなぎ、その過程で創造性がさらに広がる空間へTeumを発展させたい」と語った。

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