電動航空機の商用化にはなお高いハードルが残る。写真=Beta Technologies

電動航空機の商用化が進まない最大の要因は、バッテリー性能にある。バッテリーの重量が航続距離と搭載量の両方を制約するためだ。巨額の投資資金が流入してきたものの、認証取得や量産、充電インフラ整備といった課題も重く、日常的な移動手段として普及するまでの道のりはなお遠い。

Business Insiderは15日(現地時間)、米Beta Technologiesの電動航空機「Alia CX300」に搭乗し、電動航空の可能性と限界を検証したと報じた。CX300は滑走路で離着陸する純電動機で、米国での商用化が期待される有力機種の一つ。約20分間のデモ飛行では約35kWhを消費し、飛行中にモーターを完全停止した状態でも滑空できることを確認したという。

もっとも、電動航空機の最大のネックはエネルギー密度だ。同メディアによると、ジェット燃料1kgが持つエネルギー量は、現時点で最高水準のバッテリー1kgの約50倍に相当する。電動モーターが内燃機関より高効率である点を踏まえても、実用面での差はなお約20倍あるという。

1973年に初の電動航空機が登場して以降、バッテリーの重量当たりエネルギー貯蔵量は5~6倍に改善した。ただ、年平均の改善幅は約3%にとどまる。こうした制約から、現行技術では電動航空機の規模は9人乗り前後が限界とみられている。

商用化のハードルは技術面だけではない。電動航空業界には2004年以降、200億ドル(約3兆円)超の資金が投じられてきたが、Zunum AeroやEviation、独Liliumなど、大規模な投資を集めた企業が相次いで行き詰まった。認証取得に加え、量産体制の構築や充電インフラの整備まで、多くの課題が残っているためだ。新型機で米連邦航空局(FAA)の認証を既存の航空機区分で取得するだけでも、通常は5~9年かかる可能性がある。

Beta Technologiesは、まず医療輸送や貨物輸送を足がかりに市場を開拓し、その後に一般旅客や垂直離着陸型航空機へ展開を広げる戦略を掲げる。ただ、CX300は現時点でFAAの型式証明を取得していない。電動航空機が実際に飛行できることは示されつつあるが、日常の交通手段として定着するには、バッテリー技術と規制対応という二つの壁を越える必要がある。

キーワード

#電動航空機 #バッテリー #Beta Technologies #FAA #エネルギー密度
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.