写真=AhnLabのキム・スンギョンAI開発室長

AhnLabは9月16日、AIを悪用したサイバー攻撃への対抗には、セキュリティを理解する特化型AIが必要だとの考えを示した。脅威データを構造化してAIの推論で調査を自律化し、SaaS型セキュリティプラットフォーム「AhnLab AI PLUS」の展開を強化する方針だ。

同日開いた記者懇談会で、AhnLabのキム・スンギョンAI開発室長は「AIが脆弱性攻撃のスピードを変えている」と述べ、AIを使った攻撃にはAIで対抗する必要があると説明した。

ただし、単にAIを導入するだけでは不十分だという。キム氏は、防御にはセキュリティに特化したAIが必要であり、その前提としてAIがセキュリティそのものを理解しなければならないと強調した。中核になるのはデータだとしている。

同氏によると、AhnLabは脅威インテリジェンス、侵害指標(IOC)、セキュリティ監視情報、技術支援情報など、分散したセキュリティ知識を構造化し、AIが分析しやすい形に整理した。これを基に、AIが大量のセキュリティシグナルを収集・選別・調査し、実際に確認が必要な脅威を抽出する。

さらに、攻撃シナリオを踏まえて調査仮説を立て、必要なデータを自律的に探索する。調査結果に応じて次の調査対象を判断し、分析を重ねることで、散在するシグナルを一連の攻撃フローとして結び付けるという。

AhnLabは現在、2.5ペタバイト規模のセキュリティデータ、13のセキュリティ特化モデル、60超のAIエージェントツールを基盤に、月間1億9000万件規模のセキュリティオブジェクトを分析している。セキュリティオブジェクトは、ログ、イベント、アラート、ファイル、IP、セッションなど、AIが分析対象とするデータ単位を指す。処理するトークン量は500億規模に達するという。

攻撃側AIへの対応を想定したツール群の開発も進めており、その1つがAIペンテスト(侵入テスト)だ。

キム氏は、AIペンテストについて「実際の攻撃を行わずに侵入可能性を検証し、リスクを評価する仕組みだ」と説明。対象環境を分析して侵入計画を立て、必要なツールを選定して攻撃を試行し、失敗時には再試行するとした。

その上で「攻撃側AIが次の行動を自律的に決めて侵入口を探すのであれば、防御側AIは次に調べる対象を自ら判断し、攻撃の痕跡を追跡しなければならない」と述べた。

キム氏はまた、AI時代のサイバーセキュリティでは推論力が競争力を左右すると強調した。「これからの競争は、セキュリティ分析官の力量や単純業務の自動化ではなく、AIの推論能力で決まる」との見方を示した。

ここでいう推論は、大規模言語モデルの一般的な推論機能だけを指すものではない。セキュリティ知識と状況判断を組み合わせた、専門的な推論が中核になるとしている。

一方で、AIの自律性が高まるほど統制の設計も重要になると指摘した。AhnLabは、監査、権限統制、ポリシー保護、承認の4つの仕組みを備えた「統制された自律性」の体系を実装したという。

今回の懇談会では、SaaSに軸足を置いたセキュリティプラットフォーム「AhnLab AI PLUS」を前面に打ち出す方針も示した。「AhnLab AI PLUS Endpoint」と「AhnLab AI PLUS SecOps」の拡販を本格化する。

AhnLab AI PLUS Endpointは、EPPとEDRをSaaSベースで統合提供する防御プラットフォーム。既存顧客が保護の継続性を維持したままSaaS環境へ円滑に移行できるよう支援し、保護対象もPCからサーバー、仮想環境、コンテナ、モバイルへ広げる。

AhnLab AI PLUS SecOpsは、XDR、MDR、AI SOCを中核とするAIベースのセキュリティ運用プラットフォームだ。エンドポイント、ネットワーク、クラウドなどで発生するセキュリティシグナルを、AhnLab製品と他社ソリューションの双方から取り込み、攻撃の文脈や優先度を分析する。

これにより、予防、検知、調査、対応を単一の運用フローとしてつなげることを支援するとしている。

キム氏は「AIネイティブセキュリティはすでに製品に適用しており、将来構想ではない」と述べ、「AhnLab AI PLUS SecOpsプラットフォームを通じて、顧客のセキュリティ運用に実際に適用されている」と話した。

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