Standard Charteredは、Arbitrumのネイティブトークン「ARB」について、2030年に最大10ドルへ上昇する可能性があるとの強気見通しを示した。資産トークン化の拡大がArbitrumの収益基盤を押し上げ、ビットコインやイーサリアムを上回るリターンにつながる可能性があるとみている。
Cointelegraphが15日(現地時間)に報じたところによると、Standard Charteredは、伝統的金融による資産トークン化の進展がArbitrumの収益モデルを変え、ARB価格の上昇要因になると分析した。
強気見通しの中核にあるのは、Arbitrumの収益配分の仕組みだ。Standard Charteredでデジタル資産リサーチを統括するジェフ・ケンドリック氏は、Arbitrumがネットワーク上でサービスを展開する企業から発生する純プロトコル収益の10%を受け取る構造になっていると指摘した。
その具体例として挙げられたのが、Robinhoodが開発したRobinhood Chainだ。Standard Charteredは、同チェーンをこの収益配分モデルが実際に機能した初の事例と位置付けている。
ケンドリック氏は、Robinhood ChainがすでにArbitrumエコシステムの経済性を大きく変えたと評価した。現在のトレンドが続けば、Arbitrumの9月の収益は500万ドル(約7億5000万円)に達する見込みで、Robinhood Chainの立ち上げ前にあたる7月の5倍超になるという。
同氏はあわせて、ARB価格が2030年に最大10ドル(約1500円)まで上昇し得るとの見通しも示した。足元のARB価格は約0.14ドル(約21円)で、直近1カ月では86%上昇している。Standard Charteredのシナリオが実現すれば、現在水準からおよそ71倍の上昇余地がある計算になる。
こうした見方の背景には、現実資産(RWA)のトークン化市場の拡大がある。RWA.xyzによると、トークン化されたRWAの累積価値は約390億ドル(約5兆8500億円)に達している。
Standard Charteredは、銀行や資産運用会社がより多くの資産をオンチェーンに移すことで、トークン化資産の規模が2028年末までに4兆ドル(約600兆円)に達する可能性があるとの従来見通しも改めて示した。
Arbitrumは、企業が独自のレイヤー2ネットワークを構築できる基盤を提供している。伝統的金融によるブロックチェーン活用が広がるほど、暗号資産固有の需要に依存しない収益源を取り込みやすくなる点を、Standard Charteredは長期的な追い風として評価している。
一方で、リスク要因にも言及した。ケンドリック氏は、ARBの価格見通しに対する最大の下振れ要因として、資産トークン化の進展が想定より遅れることと、競合ブロックチェーンとの競争激化を挙げた。トークン化の拡大が期待を下回る、あるいは企業が別のチェーンを選択する場合、Arbitrumの収益成長ペースも鈍る可能性があるとしている。
またStandard Charteredは、資産トークン化の成長を、Chainlink(LINK)や分散型金融(DeFi)全体に対する強気見通しの根拠としても位置付けた。Arbitrumの事例は、伝統的金融のオンチェーン参入が特定ネットワークの収益モデルをどう変え得るかを示す試金石だとしている。今後の焦点は、金融機関が独自のレイヤー2構築にどこまで踏み込むか、そしてArbitrumがその流れをどこまで取り込めるかになりそうだ。