写真=Reve AI

オープンウェイトAIが、米ビッグテックの最先端クローズドモデルに急速に迫っている。Mozillaは、オープンウェイトモデルとクローズドモデルの性能差が約4.4カ月分まで縮小したと分析した。企業のAI活用も、日常的な反復業務は低コストなオープンモデル、高難度業務のみ高価なクローズドモデルを使う形へと移りつつある。

米Ars Technicaが15日(現地時間)、Mozillaの最新レポートを基に報じた。レポートによると、焦点は単純な性能差よりも費用対効果にある。

例えば、MoonshotAIのオープンモデル「Kimi K3」は、AIの総合ベンチマークでAnthropicのクローズドモデル「Fable 5」に3ポイント差まで迫った一方、コストは約3割に抑えられた。

Mozillaの最高技術責任者(CTO)、ラフィ・クリコリアン氏は、クローズドモデルの優位が比較的明確な分野として、専門家レベルの業務、負荷の高い検索、長文コンテキスト処理を挙げた。企業は全ての業務に高価なクローズドモデルを使うのではなく、業務ごとにコストを見極めてモデルを選ぶべきだとしている。

Mozillaは、人間の専門家の所要時間を基準にモデル間の差を比較した。現時点で最高水準のクローズドモデルは、最良のオープンモデルに比べ、約1.7倍長時間に及ぶ作業を安定してこなせるという。

例えば、オープンモデルが人間換算で7時間程度の作業を処理できる場合、クローズドモデルは約12時間規模の作業まで対応できる計算になる。

もっとも、この差も急速に縮小している。Mozillaは、約4.4カ月後には、オープンモデルが現在のクローズドモデルと同水準の作業をこなせるようになると見ている。

企業にとっては、クローズドモデルが不可欠な領域は想定より狭い可能性がある。人間の専門家基準で8時間以内の業務であれば、オープンモデルとクローズドモデルの双方が対応可能で、相対的に低コストなオープンモデルを活用する余地が大きいという。

一方、8~12時間程度を要する高難度業務では、クローズドモデルの性能優位がコストに見合う可能性があるとした。

導入事例も出始めている。フードデリバリープラットフォームのDoorDashは、反復業務にKimiを使い、より複雑な作業にはFableを充てるなど、用途別にモデルを使い分けているという。

オープンモデルが追い付くまでの間は、結果の速さが欠かせない業務に限って、クローズドモデルにコストをかける運用としている。

別の評価でも近い傾向が確認された。Vals AIの「Terminal-Bench 2.1」では、中国Z.aiのオープンウェイトモデル「GLM 5.2」が、Anthropicの「Claude Opus 4.7」「4.8」に1ポイント差まで迫った。タスク当たりのコストは、クローズドモデルのおよそ5分の1だった。

利用動向にも変化が出ている。OpenRouterの2026年8月のトークン使用量では、上位10モデルのうち8モデルをオープンウェイトモデルが占めた。

ただ、収益構造はなおクローズドモデル中心だ。Linux Foundationの論文によると、2025年5~9月の売上比率は、オープンモデルが4%、クローズドモデルが96%だった。

Mozillaは、オープンモデルのエコシステムが特定地域に偏っている点も課題に挙げた。主要なオープンモデルの相当数を中国勢が占めているため、米国や欧州の研究機関も開発競争に本格参加する必要があるとしている。

その対応策として、公的コンピュート資源に加え、中立的な財団、企業、慈善資金が共同で参画する枠組みも示した。

企業のAIモデル選定は、単に最高性能のモデルを1つ選ぶ競争ではなくなりつつある。日常業務は費用対効果の高いオープンモデル、高難度業務はクローズドモデルという役割分担が強まっている。

オープンモデルの性能差が縮小するほど、企業がクローズドモデルに支払う「性能プレミアム」も段階的に低下する可能性がある。

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