AIモデル開発の減速観測が強まり、米国のデータセンター拡張期待を支えに上昇してきた関連株に売りが広がった。市場では、AnthropicやOpenAIを中心とするAI需要の先行きに加え、データセンター増設に伴う資金調達コストの上昇にも警戒感が強まっている。
米CNBCが15日(現地時間)に報じたところによると、ウォール街では、AnthropicとOpenAIを軸に拡大してきた米国のデータセンター投資ブームが今後も続くのか、改めて見極めようとする動きが出ている。
きっかけとなったのは、週末にダリオ・アモデイ Anthropic最高経営責任者(CEO)が、最先端モデルの開発ペースを落とすべきだとの考えを示したことだ。これを受け、15日の市場ではAIインフラ関連株が総じて下落した。GE Vernovaは約9%安、Caterpillarは4%超下落、Vertivも約8%下げた。Oracleも約4%下落した。
市場が神経質に反応した背景には、データセンター拡張が複数業種の業績前提と深く結びついている事情がある。Oracleはこの18カ月、伸び悩む部門の人員を削減する一方、コンピューティング設備やデータセンターに数十億ドルを投じ、AI需要の取り込みを進めてきた。GE Vernova、Caterpillar、Vertivも、AIサーバー向けの電力供給に必要な設備投資の恩恵銘柄とみなされてきた。
また、NebiusやCoreWeaveといった新興クラウド企業は、ハイパースケーラー向けに計算資源やAIインフラへのアクセスを提供する主要プレーヤーとして存在感を高めている。DellとHewlett Packard Enterpriseも同じ流れに位置付けられている。
匿名のテック投資家は、AI向け設備投資の拡大が遅れれば、関連企業が直接的な打撃を受ける可能性があるとの見方を示した。遅延が大きくなれば、こうした企業のコスト負担要因になり得るとも指摘した。
Oracleに対する警戒感も出ている。RBC Capital Marketsの株式アナリスト、リシ・ジャルリア氏は、モデル開発や学習の減速がOracleのクラウドインフラ事業の逆風になる可能性が高いと指摘した。あわせて、同事業がこれまでOracle株上昇の主な原動力だった点にも言及した。
一方、アモデイCEOは、今回の減速論がAI開発の停止を意味するものではないと強調した。開発ペースの調整は、モデル学習や技術進歩そのものを止めることではないと説明している。ただ、市場はこの説明だけでは安心せず、データセンター増設のペースや規模が従来の期待を下回るかどうかに注目を移している。
資金調達環境も重荷として浮上している。データセンターを巡る圧力が高まるなか、業界では今後6週間にAI関連の資金需要が集中するとの見方が出ている。米国内でデータセンター建設への反発が強まっていることも、資金調達環境に影響を及ぼす変数として意識されている。
実際、ハイパースケーラーは再び社債市場に向かっている。Amazonは先週、約42億5000万ポンドと約60億ドルを調達した。Alphabetも5月、ユーロ建て社債の発行で約100億ドルを確保している。業界関係者は、この秋に予定される新たな調達案件では、前回起債時より金利が大幅に上昇する可能性があるとみている。別の関係者は、債券投資家がより高いリターンを求めていると話した。
市場の焦点は今後、主に2点に集まりそうだ。1つは、AnthropicとOpenAIを中心とするAIモデル開発需要が実際に減速するかどうか。もう1つは、データセンター拡張に必要な資金を企業がどの程度のコストで調達できるかだ。AIインフラ投資の勢いが維持されても、調達コストが上昇すれば、データセンター増設のペースや関連企業の業績期待は見直しを迫られる可能性がある。