Nakamoto Holdingsのデービッド・ベイリー最高経営責任者(CEO)は、ビットコイン普及の最大の壁は資産そのものではなく、使い勝手にあるとの見方を示した。ウォレットや秘密鍵といった複雑な操作をAIが吸収できれば、個人だけでなく機関投資家にも利用が広がる可能性があるという。Bitcoin Magazineが15日(現地時間)、伝えた。
ベイリー氏はTD Cowen主催の対談で、ウォレット、アドレス、秘密鍵、初期設定の手続きなどが、この10年以上にわたり一般利用者の参入障壁になってきたと指摘した。AIベースのツールがこうした複雑さをユーザーに意識させず処理できれば、ビットコインは大幅に使いやすくなると述べた。
TD Cowenのアナリスト、ランス・ビタンザ氏は、この見方について、現時点では仮説の域を出ないとしながらも、注目に値する論点だと評価した。金融政策や規制、機関投資家マネーの流入といった従来の普及論とは異なる視点だからだと説明した。
ベイリー氏は、機関投資家によるビットコイン活用もなお初期段階にあると述べた。現物ETFや企業の財務戦略、国家レベルでの関心の高まりによって、この1年で市場の向き合い方は大きく変わったとし、その変化は過去10年以上を合計したより大きいとの認識を示した。一方で、市場機会はすでに取り込まれた範囲を大きく上回るとも付け加えた。
伝統金融とビットコインのどちらが相手に適応しているのかとの問いに対し、ベイリー氏はビットコイン側の本質は変わっていないと強調した。機関投資家や政府、上場企業の参入は進んでいるが、ビットコインの基本的な性質がそれに合わせて変化したわけではないという。適応は一方向で進んでおり、市場の側が誰にも統制できない資産へと近づいていると語った。
また、ETFを通じた直接的な投資ルートが広がったことで、企業を見る物差しも見直すべきだとの立場を示した。財務中心の企業か、事業運営を主体とする企業かという従来の区分の重要性は薄れているとし、今後は時間の経過とともに1株当たり保有ビットコイン量を増やせるかどうかが重要になると述べた。単純な貸借対照表の規模ではなく、資本配分と実行力を見極める指標になるという。
Nakamoto Holdingsも、こうした方向性に沿って事業構造を広げている。同社は、メディア、カンファレンス、教育、資産運用、アドバイザリー、財務運営を包含する統合型ビットコインプラットフォームとしての位置付けを強めている。ビタンザ氏は、この戦略について、ビットコインを軸とする上場企業の中では比較的差別化されていると評価する一方、成果が実証された段階には至っていないと述べた。
今回の発言は、ビットコイン普及を巡る議論の焦点を、価格や制度、機関資金から実際の利用体験へ移した点で注目される。AIがビットコインのアクセス性向上に現実的な役割を果たせるのか、また企業が1株当たり保有ビットコイン量の拡大を新たな評価軸として受け入れるのかが、今後の焦点となりそうだ。