AhnLabは9月16日、AIネイティブなセキュリティ企業への転換方針を明らかにした。統合ブランド「AhnLab AI PLUS」を立ち上げ、製品・サービスに加え、セキュリティ運用そのものをAI前提で再設計する。2035年には売上高1兆ウォン(約1100億円)、海外売上比率30%以上の達成を目標に掲げた。
同日午前に開いた記者懇談会では、約30種類のセキュリティ製品・サービスと脅威インテリジェンス(TI)、セキュリティ運用の知見をAI軸で再編する「AhnLab AI PLUS」を公開した。あわせて、製品・プラットフォーム戦略、Agentic AIの技術と実運用での適用成果、中長期の投資・成長計画も示した。
同社によると、AhnLab AI PLUSはAIネイティブセキュリティ戦略を象徴する統合ブランドであると同時に、技術・製品・サービスを一体的につなぐプラットフォーム/アーキテクチャの概念でもある。
AhnLabは今後、既存の製品・サービスにAIを組み込んで検知、分析、判断、対応の高度化を図る「AI powered Security」から、製品・サービスと運用をAI前提で設計する「AI native Security」へ移行する。AIの適用範囲も個別製品にとどめず、セキュリティポートフォリオ全体と事業体系全般へ広げる方針だ。
AhnLab AI PLUSを基盤に、製品や領域ごとに分散していたデータを共通のセキュリティコンテキストで統合し、複数のAIエージェントが連携して運用を担うAgentic AI基盤のアーキテクチャを構築する。AIが重要リスクを把握して優先順位を提示し、人による判断の迅速化と精度向上を支援するAIネイティブな運用体制を目指す。
カン・ソッキュン代表は、AhnLab AI PLUSを通じて、SaaS中心の事業構造への転換、製品・データ・運用をAI軸で再設計したAIネイティブセキュリティの実装、顧客価値とAhnLabの成長の同時拡大という3つの方向性を示した。
同社は、製品・サービスを継続的に更新しやすいSaaS型へ順次転換する。顧客は大規模な一括導入ではなく、必要な製品や機能から利用を始め、セキュリティ環境や運用要件の変化に応じて機能や保護範囲を柔軟に広げられるようにする。
その中核として、「AhnLab AI PLUS Endpoint」と「AhnLab AI PLUS SecOps」の展開を本格化する。
AhnLab AI PLUS Endpointは、EPPとEDRをSaaSベースで統合提供する保護プラットフォームだ。既存顧客が現在の保護体制を維持したままSaaS環境へ安定的に移行できるようにし、保護対象をPCからサーバ、仮想環境、コンテナ、モバイルへ広げる。
また、顧客ごとの規制要件や運用環境を踏まえ、ハイブリッド構成にも対応する予定だ。
AhnLab AI PLUS SecOpsは、XDR、MDR、AI SOCを中核に、多様なセキュリティデータと運用機能を連携させるAI基盤の運用プラットフォーム。エンドポイント、ネットワーク、クラウドなどで発生するAhnLab製品および他社ソリューションのセキュリティデータを結び付け、攻撃の文脈と優先度を分析することで、予防、検知、調査、対応を一連の運用フローとしてつなぐ。
今後は、脅威露出管理や攻撃対象領域管理まで対象を拡大し、AIが大規模なセキュリティイベントを分類・調査して対応方針を提示する機能も段階的に強化する。
同社はSaaSを基盤に、導入案件中心の売り切り型から継続的なサービス提供型へと事業モデルを広げる方針だ。最新のセキュリティ機能と脅威情報を継続的に提供し、必要な機能から導入したうえで、運用環境や求めるセキュリティ水準に応じてサービスや保護範囲を拡張できるようにする。
製品販売中心の事業構造は、顧客の継続利用、更新、拡張につながるSaaS・サブスクリプション型へ転換する。顧客の運用高度化と、AhnLabのリカーリング収益拡大を同時に狙う。
さらに、連携したデータと製品機能を基に、AIがセキュリティ状況を把握・推論し、必要なアクションを実行する「Agentic AI Security」の実装も加速する。
AhnLabは、事前予防から検知、分析、調査、対応までを一体化した「AI native Security Lifecycle」の構築方針も示した。
現在は、2.5ペタバイト(PB)超のセキュリティデータ、13種類のセキュリティ特化型AIモデル、AIエージェントが利用できる60種類のセキュリティ業務ツールを基盤に、Agentic AI Securityを実装している。月間では1億9000万件超のセキュリティオブジェクトと500億超のトークンを処理しており、AI SOCの一部業務では処理時間を従来の5分から2分へと約60%短縮したという。
AhnLabは、AIを技術競争力強化の手段であると同時に、成長モデル転換の中核エンジンと位置付ける。今後3年間でAI分野に1000億ウォン(約110億円)を投資する計画だ。
同社はこれまで、毎年売上高の30%以上を研究開発に投じ、技術競争力を高めてきた。今後は研究開発投資と開発体制の重心をAIへ迅速に移す。
向こう3年間の投資は、AIコンピューティングとデータ・プラットフォーム基盤を強化する「AIインフラ」と、AI技術、専門人材、研究開発能力を高める「AI研究開発能力」に重点配分する。製品・サービスと運用に加え、開発、品質、データエンジニアリング全般でAIシフトを加速する。
こうした取り組みを通じ、AhnLabは2035年までに売上高1兆ウォンを達成し、海外売上比率を30%以上へ引き上げ、AIネイティブセキュリティプラットフォーム企業としての成長を目指すとしている。
カン・ソッキュン代表は「AIがサイバーセキュリティのルールと産業の競争構造を変えつつある今、『AhnLab AI PLUS』はAhnLabの次の章(Next Chapter)だ」と述べた。そのうえで「責任あるイノベーションを基盤に、顧客の先手対応と安全なセキュリティ運用を支援し、AI時代のセキュリティ課題に直面した際、真っ先に想起されるAIネイティブセキュリティプラットフォーム企業へ成長したい」と語った。